今日、栄光をきわめた一人のキャッチャーが二軍の試合を最後に、18年の現役生活を引退した。阪神タイガースの城島健司捕手だ。というよりも、ダイエーホークスの城島であり、日本人初のメジャー捕手、城島だ。

城島はダイエーの黄金時代を築いたキーマンだ。初めは工藤公康投手などに育てられ、のちに杉内や和田などを育て、自身も成長していった。肩は強いは、長打力はあるは、こんなにスケールの大きなキャッチャーはいない。

2004年、城島がアテネオリンピックに出場していたとき、日本ではジャイアンツに移籍して5年目の工藤投手が自らホームランを放ち、通算200勝を達成した。城島はアテネの地で、「あのおっさんは凄いわ」とコメントした。

今年のオールスター戦で、城島はファーストとして出場した。テレビのゲスト解説には、おととし現役を引退した工藤がいて、実況アナウンサーに城島との思い出を尋ねられていた。だが城島は、その直後に交替してしまった。

昨日行われた引退表明の記者会見で、城島は7月には球団側に引退を申し入れたことを明かした。相次ぐ故障から、キャッチャーとしての出場が絶望となり、このままでは好きな野球が嫌いになりそうだからと、少年のように語った。

記者会見で涙をこらえる城島を見て、面構え同様、本当に男気のある野球人だったんだと思った。打撃だけでも十分やれるのに、2000本安打、300本塁打を目前にしながら、飽くまでもキャッチャーという生きざまに拘った。

現在、セ・リーグで打率と打点でトップに立つジャイアンツの阿部捕手。本塁打は一位と2本差だから、三冠王も十分に狙える。阿部は城島より4歳下。ヤクルトの古田から続く名キャッチャーの系譜として、二人は繋がっている。

ダイエー時代の先輩、小久保選手も今年限りで引退するのが、不思議な因縁としか言いようがない。それにしても強烈に、記憶に残るキャッチャーだったなぁ…。