先日、『AKBINGO』というAKB48出演のバラエティー番組で、漫画を読むことが趣味のメンバーが、他のメンバーたちにその素晴らしさを語り、興味を持ってもらおうという企画があった。

峯岸みなみが少女漫画全般を、北原里英が『名探偵コナン』を例に挙げて熱弁をふるうなか、田名部生来が『ドカベン』を取り上げたのは興味深かった。オレは小学生の頃から『ドカベン』が好きで、もちろん全巻持っている。

対面して話を聞くメンバーたちが、なかなか漫画に興味を示さないのをみて、田名部は「岩鬼に言わせれば、どアホウですわ」とぼそっと言う。彼女は19歳の若さながら、父親の影響で『ドカベン』にハマったらしい。

次第に賛同する空気が広がるものの、それでもまだ異議を唱えるメンバーに対し、田名部はすかさず「岩鬼風に表現すると、ワナワナですわ」と言い放つ。ワナワナとは気の短い岩鬼が怒ったときに、表記される擬音である。

そのことを田名部が自身のアメーバブログに書いたところ、ドカベンについて語るコメントが相次ぎ、2ちゃんねるの芸能→地下アイドルで『田名部生来』と検索すると、ドカベンを語るスレが盛んな伸びをみせている。

殺伐とした2ちゃんねるでさえ、みんな童心に帰ってドカベンの思い出話に花を咲かせる。ある投稿者など、「平和なスレだな」と記している。前述した田名部のブログでは、彼女がドカベンの魅力をこう分析する。

「山田太郎が記憶喪失なるとことか、序盤柔道漫画とかキャラ立ちの必要性を感じさせるとことか面白すぎて吐きそうになる、まぢ人生のバイブルワナワナw」
『ドカベンはただの野球漫画ぢゃない(きっぱり)。』
4月27日の記事より抜粋。

山田太郎が記憶喪失…山田はホームにヘッドスライディングをした衝撃で記憶喪失になる。次の試合、キャッチャーは無理なので外野を守らされ、フライを取るときフェンスに激突し、そのショックで記憶が戻る。

序盤柔道漫画…連載当初、中学生の山田は柔道部に入部。柔道漫画としても十分通用するから凄い。それだけで単行本6巻を費やし、中学野球を経て、明訓高校での野球スタートがやっと9巻。途中で打ち切られなくて良かった。

キャラ立ち…以前、作者の水島新司はこう語っていた。主人公の山田が生真面目で、地味なキャラクターだから、コンビとなる岩鬼を豪快で派手なキャラにしたと。たしかに言動は破天荒だけど、義理堅く、愛すべき男だと思う。

里中は周りに女性受けするようなキャラクターがいないため、凛々しくて、ナイーブなキャラにしたらしい。殿馬は何を考えているのか分からず、見た目も独特なキャラだが、物事を達観した天才肌なところがある。

ドカベンの話をすれば尽きないが、出色は山田たちが2年生の春、甲子園決勝における土佐丸高校との対戦だろう。試合中に選手個々のエピソードを挿入し、特に岩鬼と女中のおつるの話、殿馬が指の又を手術した話は感動ものだ。

あぁ…久しぶりに『ドカベン』を読みたくなってきた。ワナワナw