吉井怜著『神様、何するの…』という本を読んだ。吉井は1982年生まれ。中学3年生のときにホリプロのオーディションを受け、系列事務所のホリ・エージェンシーに採用された。

優香らとの期間限定ユニットを経て、単独でもグラビアアイドルとして、ドラマやバラエティで活躍。CM出演も増えて、まさにこれから売り出そうという2000年夏に、体調不良で倒れる。

急性骨髄性白血病。入院の当初は自分の病気を正確に把握していないため、早く仕事に復帰させてくれと周囲に当たってみたり、自分が忘れ去られるのではないかと、そっちの気持ちが強かった。

だが再入院の際は、自分の病気が生死に関わるものだと認識し、積極的に治療を受けるようになる。点滴治療の影響で頻繁に嘔吐を繰り返し、髪の毛は抜け落ちて、爪は黒く変色した。また無菌室では精神的に追い詰められた。

そして、吉井は医者の薦める骨髄移植手術を受けるか、従来の化学療法を続けていくかの選択に迫られる。骨髄移植手術を受けたほうが完治する確率は高いが、不妊になる可能性がある。

もうその頃には、芸能界うんぬんなどと考える余裕はなく、生きるか死ぬかの問題と、真摯に向き合うようになる。吉井は悩んだ末に、母親から骨髄液を提供されて手術を受けた。吉井が手術に踏み切るまでの心の葛藤は、魂の尊さが透けて見えるようで、美しくさえある。

吉井は2002年に芸能界への復帰を果たし、数々のドラマや映画に出演している。そして現在、彼女の元気な姿はこのアメブロでも確認できる。かつて「神様、何するの…」と嘆いた少女は、素敵な女性として今を生きている。

ブログの末尾は必ず、「ファイッ!!」の言葉で締め括られている。そこに、彼女ならではの思いが感じとれる。

吉井怜オフィシャルブログ