金曜日は息子の5回目の月命日


そして、長女の子供の手術の日でした


私の初孫になる長女の子供は

病気を持って生まれてきました

先天性食道閉鎖、口唇口蓋裂、右小耳症です


出産中から心拍が弱くなった赤ちゃんは

産まれてすぐに大きい大学病院に運ばれました

そして翌日には先天性食道閉鎖の大手術を受けたのです

その手術をしなければ生きることができなかった孫ちゃんに生きる道が開かれました

ほんとに感謝しかありません


その当時、孫の病気のことで

いろいろな情報をネットで探しまくっていました

その中で、ある医師のコラムを見つけました

我が孫と同じ先天性食道閉鎖、口唇口蓋裂を持ち合わせたご家族のことでした

その赤ちゃんのご両親は、口唇口蓋裂のある顔を受け入れられず、先天性食道閉鎖の手術を拒否し、説得にも応じず、そのうち面会にも来なくなり、最終的には赤ちゃんが亡くなってしまわれて…

忘れられないご家族のこととして記事を書いていました



赤ちゃん誕生はおめでたいことで

待ち望んだ可愛い赤ちゃんが産まれると

皆が「おめでとう」と言葉をかけ

お祝いの雰囲気に包まれます


だからこそ余計に

赤ちゃんが病気や障害を持って産まれてきたら

産まれてきてくれた喜びよりも

悲しみ、不安といった感情を

とても深く大きくさせる気がします…


医師のコラムに書かれたご家族のように

時には我が子の病気や障害を受け入れられない

そんなご家族もいる…


その時の娘は

我が子のいない病院で入院している間

コロナ禍で身内の面会も許されず

不安と心細い中で

我が子を心配して

泣いてばかりいたみたいでした


赤ちゃんは大学病院のNICUに入院していて

その間、娘はせっせと母乳を搾っては届ける日々を送り

産まれて1ヶ月ほどして無事退院して

ようやく我が家に娘と共に里帰りしてきました


私にとって初孫になる赤ちゃんとの

ドキドキの初対面

可愛くて可愛くて

お顔のことなど何も気になりませんでした


でも娘は

ひ孫に会えることを楽しみにしていた私の母や

親戚達には一切、赤ちゃんを会わせませんでした

誰も口唇口蓋裂のことを気にしてはいないのに…


それだけ娘の気持ちが深い悲しみの中にいたのだと思います


生後3ヶ月で口唇裂の手術をして

とてもきれいな口元になりました

医学の技術の凄さに驚かされます 

娘は、赤ちゃんに会うことを待ち望んでいた祖母や親戚達にも赤ちゃんを会わせるようになりました


それまでは外出も控えていたのに

どんどん外出も増えて

娘自身も元気になっていきました


それでもある日

「こんな身体に産んでしまってごめんね」って

語りかけながらミルクをあげている姿に

我が子に負い目を感じながら生きているんだなぁって

一緒にいることで娘の胸の内を知ることもできました


でも私にはわからないいろんな思いを抱えているはずで

そんな娘にどこまで寄り添えていたんだろうって思うのです


今、息子を亡くした私が

母からかけられる言葉に

それは決して私を傷つけようと思って言っているわけではなく

むしろ心配してかけてくれる言葉なのだけど

時折、すごく傷つくことがあるからです…


親子であっても、同じ立場や境遇にならないと

時には傷つけてしまうこともある


ましてや他人だと尚更かもしれない


私は35年近く子供達の健康管理に携わる仕事をしていて

そのうちの20年は、障害のあるお子さん達と関わる職場で勤務しています

時には親御さんとも交流をすることがあります


これまでの関わりの中で

嬉しいことがあれば一緒に喜び

悲しいことがあれば一緒に乗りこえ

中にはお空に旅立った子供さんもいて

いつも寄り添って関わらせてもらった気になっていたけれど…


わかったような気になっていただけだったなぁ

何もわかっていなかったなぁって

今は思うのです


今の私が

息子を失い

辛く悲しく苦しい気持ちを

同じ境遇でないとわかってもらえない

と思うのと同じように

相手にそんな思いをさせていたかもしれません


でも今の私は

これから先同じ境遇の親御さんに出会ったなら

悲しみや苦しみに

寄り添うことができるのかなと

思ったりしています



私は初孫ちゃんの1歳のお誕生日まで

県外に住む娘家族のそばで一緒に過ごしました


高校生の頃、うつ状態になったこともある娘

夫以外頼る人もいない県外で

病気のある子供を抱えて

育児ノイローゼにでもならないかと心配で

娘家族の側に行こうか悩んでいた私に

「行った方がいい」と

背中を押してくれたのは息子でした


その言葉のおかげで

職場にも掛け合ってみて

1年の介護休暇も取れて

とても貴重な1年を過ごしました


元気になり

いろんなことができるようになって行く

子供の成長はすごいです


そして、我が子を「可愛い、可愛い」と

育てている娘を側で見ることもできて良かったです


そしてふと思うのです

赤ちゃんの顔を受け入れられず手術を拒否されたご夫婦のこと…

口唇口蓋裂は手術で良くなることを

子供の成長と共にたくさんの喜びもあることを

もし誰かが伝えてくれていたら

違う決断にならなかったかなぁって


もしこの先

口唇口蓋裂のお子さんを抱えて

不安に思っている親御さんに出会ったら

伝えたいです

可愛くてたまらなくなりますよって


そして今回

初孫ちゃんは、口蓋裂の手術を受けました


術後2日が経って

ようやく孫ちゃんの笑顔の画像も送られて来ました


良かった!良かった!


手術予定だった1月

熱が出て3月に延期になり

またしても熱が出て

ようやく今回の手術ができました

その日が息子の月命日に



息子が見守ってくれてたんだね…


ありがとう



5回目の月命日は

相手の気持ちに寄り添うことを考える

そんな日になりました


息子のお陰で…


ありがとう





〜息子へ〜

あなたの娘は

お茶を「ちゃっちゃ」と言えるようになったんだって

「ちゃっちゃ」と言いながら

大笑いしてる動画がとっても可愛いかったです



〜今回は長文になりました

 最後まで読んでくださってありがとうございました〜