お嫁さんと孫娘が

これまで住んでいたアパートを引き払って

お嫁さんの実家に引っ越して行きました


引越業者さんが来て荷物を運んでいる間

私は孫娘の面倒をみていたけれど

荷物が全て運び出されて

お嫁さんと孫娘も一緒に

実家に向かって行きました


息子家族が住んでいたアパートの部屋

空っぽになった部屋に私一人…

何とも言えない気持ちが込み上げてきました



この部屋のリビングで息子は倒れていました


息子には中学時代から続けていたスポーツがあって

息子が亡くなる前夜も練習試合をして

夜遅くに帰って来たのだそう


赤ちゃんを寝かしつけて寝室にいたお嫁さんがリビングに行くと

疲れた様子で座りこみ

そのまま眠ってしまいそうな息子に

「コンタクト取らなきゃダメだよ〜」

と声をかけると

「わかったよ〜。大丈夫!大丈夫!」

と返事をしたのだそう


お嫁さんはその後、息子が寝室に来るだろうと思って、寝室に戻って眠ってしまったようで

朝5時ごろ、寝室にいないことに気づいて

リビングに行くと

息子が倒れていました


顔色が悪く、すぐに異変に気づいて救急車を呼び

救急車が来るまで必死に心肺蘇生をしてくれました



最初、このことで思っていたことがあって…


もし、その日、お嫁さんが

ちゃんと息子を寝室に連れて行ってくれていたら

すぐに異変に気づいて、息子は助かったんじゃないかって


そう、「たられば」の話…



でも、しばらくしてから、違う「たられば」に

気持ちが変わっていきました


直接はその時の気持ちをお嫁さんからは聞いてはいないのだけど

きっとお嫁さんは、私と同じことを思っていたはず

あの時、寝室に連れて行けば

早くに夫の異変に気づいて助けられたのではないかと…


でも、もし息子が寝室で寝ていたとしても

眠るように静かに心臓が止まってしまっていたとしたら…


そのことにお嫁さんが気づかずに

朝を迎えていたとしたら…


お嫁さんの後悔は

もっと辛く苦しいものになっていて

自分を責め続けたかもしれない


私も、どうして同じ部屋にいながら…と、

心の中でお嫁さんを責めていたかもしれません


そんな一番最悪な状況から

とても大切にしていたお嫁さんのことを

最後に息子の優しさで守ったのではないかと


そんなふうに今は思っています…



懸命に息子を助けようとしてくれたお嫁さん

息子が倒れていたこの部屋で

あの日からずっと頑張ってくれていた

悲しく辛い思い出のあるこの部屋で…


ありがとう…



時折、孫娘がこの部屋の中で「パパ」と言ってたみたいで

一緒にいつもそばにいたに違いない息子


今日からはお嫁さんの実家で

またお嫁さんと孫娘を見守っていてね…



最後まで読んでくださってありがとうございます