光(エネルギー)、CO2(原材料)、そして最後の一つ。


「水」です。


前提として、水と言いますが正確には水と肥料を混ぜた「液肥」のことを言います。


それまでの私は、

・土が乾いたら水をやる

・しおれたら水をやる

・暑い日は多めにやる

そんな"感覚の世界"で生きていました。


しかし、アカデミーで教わったのは全く別の概念。

「日射比例潅水」

水は光に合わせて与えるという考え方です。


なぜか?


光が強い

光合成が進む

蒸散(人で言えば発汗)が増える。

水を吸う量が増える

つまり、光合成のスピードに合わせて、リアルタイムで水を供給する。

まさにトマトの「心拍数」を太陽に同期させているような感覚です。


これこそが、爆発的な収量を支える心臓部でした。



養液栽培では、液肥はチューブからポタポタと落ちます。

本当に“点滴”です。

コンピュータが日射量を計測し、

・何ジュール光が入ったか

・今どの生育ステージか

・目標の樹勢はどうか


それらを基に、1回あたり何ccを何分間隔で流すかを決める。


「今日は暑そうだから多めに」

そんな曖昧な判断は存在しません。

すべて数値。

すべて理論。

これが"世界基準"です。


さらに衝撃だったのはここ。

水は、ただの補給ではない。

樹勢をコントロールする武器でもありました。

・水を絞れば、樹勢は抑えられ果実も小さくなり糖度の高い味ができるが、収量は落ちる

・水をたくさん与えれば、草勢は強くなり果実も肥大し、収量は上がるが糖度は低くなる。

つまり、水で「攻め」にも「守り」にも振れ、どういったトマトを作り販売していくのかという経営戦略もコントロールできる。


甘いトマトを作りたいのか

収量を増やしたいのか

樹勢の強弱をつけたいのか。

すべて、水で調整できる。

もっというと、水と混ぜる肥料によってもコントロールできます。


水ひとつで、ここまで未来を動かせるのか。

情報量の多さに正直、頭がパンクしていました。


ここまで学んできて、私は確信しました。

収量は偶然ではない。

・光を最大化する

・CO₂を最適化する

・水を戦略的に動かす

この三位一体が揃った時、初めてトマトは“本気”を出す。

そして思いました。

「これは再現できる農業だ」

経験に頼らない。勘に頼らない。属人化しない。

理論を理解すれば、誰でも同じ土俵に立てる。

これこそ、私が追い求めていた世界でした。


理論はわかった。


数字も見えるようになった。


誰もが「これなら自分でもできる!」と思うかもしれません。

でも、なぜか「計算通り」にいかないのが、生き物を相手にする商売の恐ろしさでもあります。




今回はここまでになります!

次回、

「データだけでは勝てない、農業の難しさ」


最後まで読んでいただきありがとうございました!

次回もお楽しみに!




〜おまけ〜

今回は水についてお話ししました。水の与え方には、"排液率"という考え方があります。100の水を与えた時に、植物が吸わずにどれだけ排出したかというものです。これらは、養液栽培を行う上で非常に重要な数字になります。ただ、本当に難しいため別の回で細かくお話ししたいと思います。水は与えすぎもダメ、与えなさすぎもダメ、非常に難しいので皆さんも気をつけながら潅水を行ってください!