前回、葉っぱは多ければいいわけではなく、
「必要な分だけ残すことが大事」だと学びました。
では次に考えるべきは、これです。
「じゃあ、実は多ければ多いほどいいのか?」
収穫量を増やしたいなら、できるだけ多くの実をつけた方が良さそうに思えます。
私も最初はそう考えていました。
しかし、この考え方もまた半分正解で、半分間違いでした。
トマトにとって「実」とは、
**子孫を残すための器官(種を作る場所)**です。
つまりトマトは、できるだけ多くの実をつけようとする性質があります。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
それは、実をつけすぎると、樹が耐えられないということです。
トマトが光合成によって作れるエネルギーには限界があります。
光合成で作れるエネルギーは無限ではありません。
その限られたエネルギーを
・葉や茎に使うのか(栄養成長)
・実に使うのか(生殖成長)
常に分配しています。
もし実をつけすぎると、エネルギーが果実にばかり使われてしまい、
・樹が弱る
・葉が小さくなる
・実が小さくなる
・次の実がならない
といった状態になります。
つまり、短期的には収穫量が増えても、長期的には収量が落ちるのです。
逆に、実を少なくしすぎるとどうなるか。
今度はエネルギーが余り、
・葉ばかり茂る
・樹が暴れる(樹勢が強くなる)
・実がつきにくくなる
といった状態になります。
ここで重要なのは、
「実の数をコントロールすること」
です。
そのために行う作業が
「摘果(てきか)」です。
これは、あえて実の数を減らすことで樹全体のバランスを整える作業です。
最初にこれを知ったとき、私はかなり衝撃を受けました。
「え?せっかくできた実を取るの?」
収穫できるはずのものを減らすなんて、もったいないと感じたからです。
しかし実際は逆でした。
実の数を絞ることで、1つ1つの実にしっかりエネルギーが回る。
その結果、
・果実が大きくなる
・品質が安定する
・最終的な収量も安定する
という結果につながります。
ここでもやはり、本質は同じです。
・葉も増やしすぎない
・実もつけすぎない
すべては「最適なバランスを保つこと」
農業とは、「たくさん作ること」ではなく
「コントロールすること」
なのだと、改めて感じました。
そしてここまで来て、ようやく一つの答えに近づいてきます。
なぜオランダは、日本よりも圧倒的に収量が多いのか。
その理由は、特別な栽培でも、特別な肥料でもありません。
今回はここまでになります!
次回、
「〜総集編〜なぜオランダは収量が何倍にもなるのか?」
最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!
〜おまけ〜
今回、適果についてお話ししました。実際の現場では、果実が肥大する前に花の段階で数を揃えます。トマトは多くて6花ほど花を咲かせますが、そのうち半分を取り3花〜4花ほどにします。なぜ、早めに取るかというと、トマトの花が受粉し果実がなる行為はものすごいエネルギーを使います。人間で言う出産と同じです。そのエネルギーを消費して適果するのはもったいないので、早めに取ります。さらに、樹の状態や出荷サイズによって花数を調整します。大きめのトマトが欲しい時は花数を減らし、小さいトマトが欲しい時は花数を増やします。そのため、すべての段が同じ花数になるわけではありません。この辺りは販売先との兼ね合いもあるため、栽培と経営を照らし合わせながら調整していくことが大事ですね!