「リレー優勝するとはなあ」

「大翔すげーよ。」

「や、日向くんのダッシュもやばかったよ!!」





みんながワイワイと話ながら帰って行く







紅白戦が終了した─────







結果は惜しくも白組が勝利したが、学年ではリレーのこともあってか主人公のクラスが優勝した。








「なあ~、打ち上げ行けるヤツは行こうぜ!!」


「それ賛成~!!」



クラスのみんなが打ち上げの計画をしていた





後藤が大翔の肩を掴む



「大翔は?来るだろ?」



「めんどくせーな・・・」





「風間くん来てくれたら最高だね!!」

「えー来てよ来てよ!!今日のMVPじゃん!!」



クラスの女子が大翔を囲む




女子にどんっとはね飛ばされた後藤は不満そうな顔になる

そしてふと後ろにいた伊吹に声をかけた





「伊吹は?来るだろ?」




「・・・俺そーゆーのパス」







「おまっ・・・水泳部の打ち上げも来ないくせに今日も休む気か・・・

いいか!!伊吹は強制参加だ」



キャーと盛り上がる女子達






「まじかよ・・・」



呆れ顔になる伊吹






「ねぇ、○○どうする?」


栄子がひそひそと主人公に話かける


「私はパス・・今日しんどいし・・」


「えー・・じゃあ私も・・・」


栄子が言いかけた時、主人公の小さな声が伊吹の耳に届いたのか、







「○○いかないの?

じゃあ、俺もいい」




と言いだした







「ちょっいぶっ・・・・!!」




主人公が慌てると周りの女子の目が主人公に集中する



「○○さん来るよねぇ~?」


「まさか来ないとか~?」




行かないとは言えないような目で女子達に詰め寄られ、主人公は苦笑いしながら





「あ、行きたいな~なあんて・・


アハ・・アハハハハ・・」





「っしゃあ!!今日は盛り上がるぞ!!」


ワーーーッとクラスのみんなが盛り上がる






(帰りたい・・・・・)







主人公はハァとため息をついた







公園─────────




ワイワイ・・・




「●●が大量に酒買ってきたぞー!!」



「でかした!!」

「買いすぎ~!!」


未成年にもかかわらずみんな雰囲気に流されどんどんお酒を飲んでいく




お酒が弱い主人公はずっとウーロン茶を飲んでいたため、静かに公園に転がる缶達を眺めていた







「ほらほらもっと瞬飲めよお~」



酔ったアキラがフラフラになりながら瞬にチューハイを手渡す




「二人ともほどほどに・・・」




ふと伊吹の顔を見ると、伊吹も真っ赤になって笑っていた




「いいじゃん、○○も飲もうぜ・・・ひっく」


伊吹は主人公の肩に右手を回し左手にはしっかりチューハイが握られていた




「酒くさっ!!

伊吹くん・・・しっ・・しっかりして!!」




伊吹の酒の匂いに鼻を手で覆い、苦しそうにしている主人公をじーっとニヤニヤしながら見つめる伊吹







「なっ・・・なによ・・」






「可愛いよな、○○って」



「はっ!?」




顔が火照る




(こっこれは酔ってるから口からでまかせを喋ってるだけ・・・


間に受けちゃだめ・・・)






高鳴る胸を抑えて自分にそう言い聞かせる







「おいおいいちゃつくなよ~そこのお ふ た り さん♪」






アキラも栄子と肩を組み、楽しそうに主人公達をひやかす





「いっいちゃついてなんか・・・!!」






否定しようとする主人公をよそに、伊吹はもっと主人公を自分の方へ引き寄せ二人の距離はわずか数センチになった




「伊吹く・・・・・!!」





(みんないるのに・・・!!)




そう思って周りを見るが、みんな酔いつぶれてそれどころではない様子だった








「お前らどこまで行ったんだよ?」






「あ、私もそれ気になるう~ふふっ」







「ちょっ二人とも・・・・!!」




主人公は顔が真っ赤になる



「どこって河原だけろ?」







ろれつが回っていない伊吹は不思議そうな顔をしながら答える











その瞬間、伊吹をのぞく3人は全員目が点になった










「あのねぇ・・・・・伊吹くん。
オネエチャン達はそんなことが聞きたいんじゃなくて」


「○ッチしたかって聞いてんだよ!!」



栄子の言葉にアキラがかぶせる




ピキッ───────・・・・




主人公は石化した









(この人たちは……

なんてことを………──────!!!)





伊吹も無表情のまま固まっている







「まっマジかよ。」



「伊吹くんとか手早そうなのに~」



驚く二人








「ったく。だから不自然なカンジがすんだな」







後ろから声が聞こえたと思うと、その正体は大翔だった




大翔も相当飲まされたようで耳まで真っ赤な顔で、少し眉をひそめて立っている





「ったく・・・・瞬。お前も少し成長したかと思えば・・・。



いいか、男なら決めてこい!!」


「そうだそうだ大翔いいこと言った!!」









主人公は大翔の言葉を疑ったが、それも束の間、酔った栄子、アキラ、大翔の三人に引っ張られ主人公と伊吹は公園の隅に追いやられる






「ったく。二人の時間でも作っとけ」




「はっ!?」





「いいか、お前ら二人は打ち上げに参加しねーでここにいろよ」




「風間くんやっさし~♪♪

○○、そういうことだから思う存分イチャつきなよ~」




「ほらほら、俺らはおじゃま虫ってやつだから退散しようぜ」



三人はくるっと背を向けて行ってしまう






「ちょっ・・・・・・!!みんな・・・・・・!!」



主人公が立ち上がろうとすると、伊吹に腕を掴まれ…立ち上がれない





そんな主人公をよそに三人は見向きもせず消えてしまった








「ちょ・・・・・やだなあ・・みんな・・・・はは」





心臓をドキドキしながら真っ赤な顔で伊吹を恐る恐る見ると、伊吹は頬を赤らめながらニヤっと笑う


「ひっく」







「ちょ・・・・伊吹くん酔いすぎ」






「イチャつくんだろ?」




伊吹は主人公を引き寄せ、顔を近づけていく






「ちょ・・・・・!!




落ち着いて伊吹くん!!」





顔をそらして伊吹の胸をぐぐぐっと押す





「なに顔赤くなってんの?冗談冗談~」


はははと笑う伊吹







「うるさいっ!!!」





伊吹から耳まで真っ赤にした顔をそらしたまま機嫌悪そうに答える







「○○ってさ・・・・しゃべらない方がかわいいよな」




「わ・・・・悪かったわね!!!」


喧嘩売る気?と拳を振ろうとするとその手をパシッと止められる




「でもさ・・・・大翔と俺が走るってなってもアンタまで一生懸命走ったり



なにがあっても媚びないしさ




はじめ大翔がなんでこんな奴にちょっかい出すのかとか思ってたけど







なんとなくわかった──────」






(あの伊吹くんがたくさん喋ってる・・・・)





そう思って驚いた表情で伊吹を見つめた







「正直な話・・・・




○○をどー思ってるのかまだよくわからない・・・。






だけどいじらしい気持ちになる時もあって・・・





アキラに言われた───




渚がだめなら主人公っつーこともねーだろって。






確かに主人公を使って忘れようとしてる気持ちもどっかにある──…





忘れられれ・・・

いけね・・ろれつが回んね・・




忘れられるかもしれないと思ってた






でも、今はやっぱり・・・・




ごめん────────………………」










伊吹のピンクに染まる頬が街灯で照らし出される



しかしその表情はどこか切なそうで───………




「俺が帰ってこなきゃ今頃大翔と○○は─────……」



そう言いかけた言葉を主人公が遮る




「や、やだなあ。
謝らないでよ!!


それに・・・

いいこともあったし!!」




「いいこと?」





「うん、初め会った時は伊吹くんすんごく冷たくて他人には興味ないって顔してたもん。



こんなに喋ってくれるようになって・・・それだけで嬉しいよ!!



私あの時どんだけ傷ついたか!!


あの時の伊吹くんの顔ねっ、─────………………」




その後も主人公は楽しそうに一人でずっと話し出す




伊吹は始め目を丸くして主人公を見ていたが、だんだん微笑んで一人で話す主人公の顔を見つめていた






(後悔してないよ



しょうがないじゃん


放っておけなかったんだもん





風間くんをどう思うかとかやっぱりまだ自分の気持ちがよくわからない







でも






伊吹くんを好きだった気持ちは嘘じゃない。





胸は少し痛むけど

どこかスッキリしたかもしれない─────……。)






主人公は少し何かに吹っ切れたような気持ちになった











────────打ち上げ後




「じゃあここで解散な」


「みんなバイバイ~!!」


「お疲れ~!!」



各自ゴミを持ち帰り、解散することになった




主人公は栄子と別れた後、警察に止められた






「はい、君今いくつ?」




(ヤバッ────!!)



お酒の空き缶が入った袋を隠し、




「じゅっ18です」



とっさに年齢をごまかすが、お酒は20歳からであることに気がついた時には遅かった




「年齢確認いいかな?学生証ある?」





「あ・・・・今持ってないんです・・」


おもわず目が泳ぐ



「学校どこ?親は?」


腕を捕まれ強い口調で問いただそうとする




(どうしよー・・・・・!!!)



主人公が焦っていたその時










バババババババ・・・・・・












上から何かが近づいてくる・・・





「うわっ・・・・なんだ!!」



「ヘッヘリだ!!!!」




主人公は思わずあっけにとられる




するとヘリから誰かが出てきた






「その人は僕の連れです。放してください」







「やっ・・・矢島さまの!!」


その瞬間掴まれていた腕を放される






(や・・・矢島先輩・・・・だったっけ・・・??)




ぽかんとした顔で立っていると







「こい。○○」



二次元に恋するお年頃-F1020153.jpg





そういって手を差し伸べられる





状況が全く理解出来なかったが、とりあえず差し伸べられた手をとりヘリに乗る






「ふう・・行くぞ」







そう言って主人公は行き先もわからない場所へ連れて行かれた







(な・・・・なにが起こったの─────────────────?!)