主人公は一日ぶりに部活に顔をだした


たった一日なのに、なぜだか緊張してしまい、グラウンドに入るのをためらっていると





「○○ちゃん!!」





後ろから声をかけてくれたのは早乙女先輩だった

主人公はほっと安心する



「早乙女先輩・・・・・」





「昨日大丈夫だった?」





「はい・・・休んですいませんでした」




「えーそんなん気にしなくても全然いいのに!!まさか今ためらってたのってそれで?」




「そんなカンジです・・へへ・・」




二人はサッカー部の方へ歩きながら会話をしていた




「・・・・しかし真面目だよな~○○ちゃんは・・」





「そんな・・・・・」





「いやいや、いつも毎日遅くまでちゃんと片付けしてさ・・・沙也加ちゃんも少し見習ってほしいよね・・・なんて」



悪気なくニッコリ笑いながらはなす早乙女先輩につられて思わず主人公もニコッとしてしまう





部室前に着くと、何人かがすでにもう来ていた


そこには大翔もいた




(あっ─────……)



主人公は思わず鼓動が早くなってしまう




(そうだ…もう今までみたいには話せないんだった……)




大翔は主人公を見向きもせず、沙也加たちと話している




「うおーい風間!!愛しの○○ちゃんが来たぞ!!」




(さ・・・・早乙女先輩・・・)




なにも知らない早乙女先輩はニコニコしながら大翔の名前をよぶ





主人公はもういてもたってもいられなくてその場から逃げたい気持ちでいっぱいだった




大翔は今まで笑っていた顔が急に消えた





「昨日さ、コイツ超プレー荒いんだよ。○○ちゃんが来てなかったからかなーって・・んぐっっ」





早乙女先輩の口を塞ぐ神坂先輩




「ちょっとこっち来てくれないか?千葉と新しいスパイク選んでんだ」






「んぐるふい・・・(苦しい)」




神坂先輩はニッコリ笑いながらずるずると早乙女先輩を連れて行く






「先輩



勘違いしないでください」




大翔がそう言うと、神坂先輩と早乙女先輩はピタっと立ち止まった





「俺、○○のこと好きじゃないっすから」






大翔の後ろに隠れていた沙也加と目が合うと、くすっと主人公をあざ笑うかのように見た



主人公は思わず目をそらす





「沙也加、ウォーミングアップ手伝え」



そう行って主人公をよそに行ってしまう二人







「風間」





呼び止めたのは神坂先輩だった
大翔は静かに振り返る






「もう少し大人になれよ」







「・・・・・・・・・・・」



大翔はその言葉に反応もせず、沙也加と行ってしまった







「はぁ・・・・バカな奴・・・」



神坂先輩はため息をもらす



「えっえっ・・・今なにが起こったの!?」




一人状況が把握できない早乙女大吾16歳




「いや、なんも起こってない。さ、練習まであと少し時間あるし、スパイク一緒に選んでよ。○○ちゃんもっ」



空気を読んで主人公も誘ってくれる優しい神坂先輩



神坂先輩がモテるのがよくわかる───



主人公はこの時改めて実感するのだった─────・・・・・









────一方大翔と沙也加




「ちょ・・・お前くっつきすぎ。」




「えーなんで!!だって嬉しいんだもん!!」




「なにが?」





「○○じゃなく私を選んでくれたこと♪」





そう言うと、大翔は睨んで沙也加を見る




「俺の前であいつの名前出すな。」



あまりの威圧感に思わず1歩下がってしまう沙也加




「・・・うっうん」





「これ持っとけ」



大翔は脱いだジャージを沙也加に渡し、一人でアップをしていた






その時、向こう側でみんなの笑い声が聞こえる




二人がそっちをみると、主人公が先輩たちと楽しそうに話している光景が見えた





大翔はすぐに目をそらしたが、また視界をそっちに戻す





「沙也加、アイツ誰だよ」


混じっていたのは一人だけ野球部のユニフォームを着る長身な爽やか少年





「え?ああ・・・野球部の近藤さんでしょ?

学年違うからわかりずらいけど、結構人気あるみたいよ



・・・・・気になるの?」




恐る恐る聞く沙也加





「気になるわけねーだろ。
だいたい俺○○のことなんかもう少しも好きじゃねーし。




・・・・もういい。どっかいけ」




「え・・・・」





「いいから一人にさせろ。」





大翔に冷たくそう言われたので、大人しく帰って行く沙也加




大翔はベンチに横になる





二次元に恋するお年頃-F1080018.jpg




「んだよ・・・・・・


忘れてーのに。




どーやって忘れろってゆーんだよ・・・・・」










─────────次の日



栄子は今日も休みだった
主人公は毎日昼休みも練習に励む伊吹のもとへ行っていた



大翔がアキラとご飯を食べていると、クラスの子らの声が聞こえてきた



「最近○○ちゃんって伊吹くんといいカンジじゃない?」


「昼休み、更衣室から二人で出てきたところみた人がいるんだって!!」


「二人で!?えーっ怪しい~」






「・・・・周りの話なんか気にすんなよ」




アキラは少しハラハラしていた

大翔は黙って黙々とパンをほおばった









─────────プール



主人公はストップウォッチで計るのもうまくなり、伊吹のタイムを計っていた





「うん!!タイムまた伸びたね!!」




「っし・・・今日はここまでにすっか




ここにいろよ」





「うん」






伊吹が着替えに行ってる間主人公は一人でプールを眺めていた




(懐かしいなあ・・・初めて入った時は伊吹くんに怒られたんだっけ)






主人公が思い返していると、




「ちょっと」






声がしたので振り返るとそれは、初めて水泳部を見学した時にいた女の子たちのうちの3人だった






(あ・・・あの子たち覚えてる・・・)



「は・・はい」






「最近伊吹くんが風間くんたちと仲が悪いそうね」



「え・・・・」




「あんたのせいよっ」



「あんたに同情して伊吹くんはこんなことになっちゃったのよっ




伊吹くんがかわいそうっ




こんな下品な女にだまされるなんて─────」




3人は目を赤くしながら泣き、一人は顔を手で覆いながら泣いていた




「あたし────だましたわけじゃ・・・・」








「だましたにきまってんじゃないっ





じゃなきゃあんたのような女伊吹くんが相手にするわけないでしょ!?」






「っ────………」


突然の出来事に戸惑ってしまう主人公








「そーゆうのをよけいなお世話っていうんだけど」







制服姿に着替えた伊吹が後ろから頭をかきながらやってくる





「きゃあっ!!伊吹く・・」


「こいつのこと下品ってゆうあんたたちの方がよっぽど下世話だと思うけど・・・?」




急に現れてきた本人をみて驚く3人に冷たく言い放つ伊吹



「げっ下世話だなんて・・・」


「伊吹くん・・・がっかりです。



こんな人をかばうなんてほんとふぬけになっちゃったんですね」





「もう今日かぎりでファンやめます。馬鹿馬鹿しい



いこっ」




3人は不機嫌そうにその場を去った





(どうしよう・・・私のせいで・・・)



主人公が伊吹の顔を直視できないでいると





「気にすんなっ」



と明るい顔で主人公のおでこにデコピンする




(いたい・・・・・)




ヒリヒリするおでこを押さえながら、すこし顔を赤らめて



「気にすんなって──────



伊吹くんがあんなこと言われて…………」




「は?


俺?」






きょとんとした顔で振り返る







(は 俺 ・・・・?)



主人公までもきょとんとしてしまう









「あー



俺あんまりあーゆうの気にならないんだよね」










「ガキのころからこんなんだからスゲー不気味がられててさ




いーたい奴には言わせとくってヤツ?


おまえもそうだろ?」



そう口元をにこっとしながら話す伊吹を、主人公は見とれてしまった




(なんてカッコいいんだろ・・・・・)






「ほら、教室行こうぜ」





二人はプールをあとにした









───────二人が教室へ入ろうとすると、大翔が教室の前に腕を組んでたっていた






主人公は目を合わせないように伊吹のかげに隠れていると





「おい」




大翔に呼び止められる





二人は足をとめる





「なっなによ・・・・」






「二人でいちゃついてこれたかよ?教室ではいちゃつけねーってか?」




ハッと笑う大翔





「なっ・・・・・」


主人公はカッとなり顔が真っ赤になった






「大翔


なにがいいたいんだよ」





伊吹は大翔の言葉には動じず冷静に聞く






「○○








おまえマネージャーやめろ」







突然の大翔の発言に主人公は理解できなかった─────────……