不器用だけど優しいキス







名残惜しそうに唇を離す







「・・・・・・わ・・私・・」






主人公が何か言いかけたその時










「あれ~?風間のやつどこ行った~?」






遠くの方から大翔を探す早乙女先輩の声




パッと手をどかし、ドアの方を見る大翔




「やべ・・行かなきゃ・・」








「あ・・・」





大翔はドアの方に向かって歩き、一度足を止めて真剣な顔で主人公を見た






「俺、本気だから・・・・」






そう言うと、大翔は部屋から出ていった





パタン──……






主人公はずるっと床にへたれ込んだ






(風間くんが本当に私のこと・・・)










主人公はその日、眠れないでいた──……。








──────次の日





「おはよー・・・」


暗い栄子の挨拶に、少し焦る主人公



「どっどうしたの栄子・・なにかあった・・?」







「……ううん!!



何でもないの!!

寝不足でさあ~


夜ニコ動みすぎかなあ」



「どんな理由よ(笑)」





「うっす」



「来栖くんおはよー」


「おはよ~」



「ん・・?」


アキラがあまりの栄子のテンションの低さに驚く



「な・・・ど・・どうした…?」




「え~?私そんなに変?


ただの寝不足だって~」



「んだよニコ動でも見てたんじゃねーの」




「すごっ!!来栖くんよくわかるね!!」
主人公は驚いた




「や、俺も前そうだったし・・」





「へぇ~!!来栖くんと栄子気が合うんじゃないの??
来栖くん、栄子オススメだよー」




「んなっっ・・・!!」




主人公が何気なく発した発言に赤くなる



(おや・・・・?)



主人公は目を丸くしてアキラを見る





その時



「よ、アキラ」



「おー大翔、うっす」


大翔が後ろから現れた



(ドキン────………)

主人公はその瞬間鼓動が早くなった




「風間くんおはよ~」


栄子が挨拶すると、驚いた顔で


「なんか栄子目腫れてね?不細工だぞ」



と言った





「ひどお~・・寝不足です~」






ははっと大翔は笑い、ふと前を見ると主人公と目が合った




(やだ……なんでこんなに緊張してるの私・・)




主人公の心臓は今にも飛び出しそうだった




「・・・・よ・・よう・・」


「あ・・おはよ・・」





二人とも頬を赤くそめ、パッと目をそらす







( ̄д ̄)( ̄д ̄)・・・



※注意:↑栄子とアキラ




「・・・・・・・・あの~…なんですか?この空気」



「お・・・おまえらなんかあった…?」





すると大翔は頬を赤くしたまま、キッとした目つきで


「今日からこいつは俺のものだ、よろしく」




と宣言した


「んなっ・・・・・!!!!!!!」



主人公は余計に赤面する



「マ・・・マジかよ!!!!!!!」

「えぇぇ・・・・!!!!いつのまに!!!」




「ふふん・・おまえらなんかに教えてやるかよ」


得意げに言う大翔



「・・別に知りたくねーけど」



「おい、○○、一緒に今日帰るぞ」



「えっ・・・」



「なんだよ・・いやなのかよ・・」





「いや・・その・・


わかりました」





すると大翔はうれしそうに

「よっし・・今日は寝ないで授業でも受けてみっか~♪」


と自分の席に戻っていった







「あんな嬉しそうな大翔・・初めてみた・・・」



「風間くん・・相当嬉しいのね・・・」




唖然とするアキラと栄子





(なんか・・どこまでも俺様だよね────────・・・)






すこし心配になる主人公であった






───────放課後


授業がおわり、更衣室に向かおうとした時だった

雲行きが怪しく、辺りがだんだん薄暗くなっていく



「わ…なんか雨降りそうだね・・」



その予想は的中し、すぐに雨が降り出した




「わわわわ・・・!!」

「あ、連絡網だ。下駄箱にみんな集合だって」



二人は急いで下駄箱へ向かった












「雨が止みそうにないから、プレーヤーはウエイトルームで自主トレだ。マネージャーは今日は帰っていいそうだ。」



「あ、お疲れさまでした。」


二人はみんなにぺこっとお辞儀した




主人公はどうしようと大翔を見ると、大翔が口パクで主人公に




「帰れ」



と言ってくれたので、栄子と帰ることにした








──────帰り道





「じゃああたしこっちだからまたね~!!」


栄子が笑顔で手をふる




「今日は早く寝なよ~」


主人公も手をふり、二人は別れた






(なんか今日の栄子変だったなあ・・・本当に寝不足だったらいいけど・・)



主人公がそんなことを考えながら歩いてると、







ニャ──ン・・・・






「ん??」




(いま・・猫の声したよね・・)





ふと見ると、段ボールに白い子猫が捨てられている





「わ・・・・・・」






主人公はしゃがみ込んで、傘を段ボールが濡れないように入れてあげた






「おまえ・・どこの猫?かわいそうに・・寒かったでしょ・・」





(でもその割にあんまり濡れてないな─……)






その時、猫はピクッと耳をたて、走って段ボールから出ていった






「あっ・・・ちょっ・・・・・・!!」







主人公が慌てて立ち上がる





「やっぱり───………」







「え・・・」




(今の声・・)



後ろを振り返る








「ただいま」




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