試合当日


「今日の相手チームは強豪だから気を抜くな」


千葉先輩の言葉で緊張した空気になる



ミーティング終了後


大翔が神坂先輩のほうへ近づいてくる


「よ。」




「アイツから聞きました。」





「え?



ああ・・・


ご褒美のこと??」






「・・・・アイツは渡しません」




大翔の顔は真剣だった






大翔はそう言うと、タオルを持ちアップしに向かった






神坂先輩はニコっと笑った







「面白くなりそうだな──…」










────試合が始まった




「うわぁ~・・相手チーム強そう」


栄子がハラハラしてる


「ほんと・・・みんな真剣な顔してるね・・・。」



二人とも公式試合は初めてだったため、緊張していた。



「私、手ふるえて来ちゃった(笑)」


スコアを書く栄子の手はブルブルと震えていた




「1年の風間がどれだけ動けるか、楽しみだな」





監督が横でにっこり笑いながら試合を見ていた







試合が中盤に差しかかった時、0-1と相手に入れられてリードされてしまう




「ああ・・・・あと10分しかないよ・・」





その時、神坂先輩が相手をうまく交わし、ゴールへ向かって走る






「ナイス神坂先輩~!!

いけー!!!!!!!!!」


栄子は興奮して叫んでいる





(決めてほしいけど─……!!)



その時




ワッと観客席が湧いた




「神坂先輩!!!!!!!」





神坂先輩が倒れている






ピピーッ



『5番、イエローカード』






すぐさまマネージャーが神坂先輩のもとへ走る
監督も走って駆け寄る



「大丈夫か?」




「相手チームの奴、思いっきり突っ込んできたなあ・・(笑)

俺は大丈夫・・・」




「先輩、右足腫れてます!!」

栄子が急いでコールドスプレーをふる



「監督、大丈夫です。」



ニコッと笑う神坂先輩の顔は少しひきつっている





「神坂、気持ちは分かるが、この状態だと迷惑をかけてしまう。今は早く治す為にもベンチへ下がろう」




「・・・・・・はい。」


神坂先輩は栄子の方を持ち、ベンチへと向かった




そしてベンチ入りしていたメンバーと交代して、試合は続行した





なかなかゴールへボールが運べない

しかし時間は刻一刻と過ぎていく




その時───────





ワァァァ



大翔が、相手のパスボールを奪う




「風間くんっっ・・・・・・・!!」




神坂先輩は頭にかけていたタオルをバッと剥がし、立ち上がる




「風間



いけ────…………!!!!!!!!」








大翔が蹴ったボールは、綺麗に弧を描いて吸い込まれるかのようにゴールに入っていった











ワァァァァァァァ───────────!!!!!!!!






同点に追いついた








「あと3分です!!!!!!!!!!」




主人公は叫んだ



「陵泉、頑張れー!!!!!!!!!」




栄子も叫ぶ



監督も黙って試合を見ているが、その表情は真剣だった────






千葉先輩が大翔のアシストを受けて、ゴールに向かってボールを蹴った




「いけー!!!!!!!!!!!!!!」


ザンッッ───………






ピピーーーッ




電光掲示板に示される
2-1という文字





ワァァァァァァァ───!!!!!!






陵泉高校が勝利した













───────試合が終わって、みんなは次の相手校の試合を観賞しに行った







栄子と主人公がロッカールームで片づけをしていると、カチャっとドアを開け、神坂先輩が入ってきた



「俺、今から病院行くからみんなに抜けるって言っといてもらっていいかな?」




「一人で大丈夫ですか?」

主人公がそう言うと




「私、一緒に病院行っていいですか・・?」



栄子が心配そうな顔で言う





「いいよ栄子ちゃん、これくらいの怪我なんて何ともないよ」





「あとで支障がでたらどうするんですか!!私、監督に車出してもらうよう言ってきます」



栄子は走って部屋を出て行った






「あー・・栄子ちゃんは心配性だな・・」






神坂先輩はふっと笑って主人公を見た





「いやー。大翔にはやられたな」




「え・・・?」




「俺、絶対点数決めてやろうって思ってたんだ。



だけど大翔は絶対俺にはパスもアシストも出してくれないと思ってた。



でもあいつ、チャンスがあるたび「先輩!!」って俺を呼んでパスしてくれたんだ。



怪我をする前のチャンスボールも、あいつのパスがあったからだよ」




「先輩・・・・・」






「出てこいよ、風間」







「え・・?」






するとドアの向こうに大翔が立っていた





「○○ちゃん泣かせたら承知しねーぞ」






「わかってます」








神坂先輩はフッと笑った




「俺の完敗だよ────────…。」








そういって部屋を出ていった








ロッカールームは二人きりになり、静かな空気が流れた




「・・・・・・」




「・・・・・・」





主人公はなにも言い出せなず、ただうつむくばかりだった





「なんか言ってよ」
「なんか言えよ」




二人は同時にハモった






「ぷっ・・・・」



二人は目を合わせ、笑った



「なんだよ俺ら・・初めて喋るんじゃねーんだし・・」




「ほんと・・・この空気どうにかしてよ」




「意味わかんねーよ。お前がどーにかしろ」


「なんで私が!!男でしょ!!」


「おまっ・・きたねーぞ」




「汚くないし!!風間くんのガキ!!」




「は?ガキじゃねーよ!!」




「ガキだもん。だって神坂先輩にヤキモチやくしさ…」




主人公はそう言うとハッとした


(マズい・・・)



大翔は真剣な顔でこっちに近づいてきた



「ご・・ごめ・・」

「妬いてるよ」






「え・・・・?」





(風間くん今なんて──・・)







「神坂先輩に妬いてるよ。



ガキだろーがなんだろーがかんけーねぇ」






大翔の顔は真っ赤だった





「か・・・かざまく・・近い・・」





主人公も真っ赤になって、目の前にいる大翔の顔が見れなくなってしまった





「なに照れてんだよ・・・こっち見ろ」




「風間くんだって真っ赤じゃん・・・・」





「うるせー。いいからこっち向け」


顎をもたれて、ぐいっと顔を上げる






「マネージャーとして応援するなんて言ってねえで、もっと側で……」










「俺の側で、俺だけ見てろよ」





そう言って大翔の顔が近づいてくる



「・・・・風間くん・・!!落ち着いて・・・!!!!!」




後ろにロッカーがあり、大翔は前から迫ってくるので、主人公はどうしようもできない・・・



「なにが・・?」




「ちょっ・・待って・・」





大翔の顔がだんだん近づいてくる───……





「待たねー・・・・・」





二次元に恋するお年頃-F1080013.jpg















そうして二人は目を閉じ




初めて
甘いキスをした───……