「瞬のやつ・・・かっこつけやがって」


大翔はふんと言いながらも顔は嬉しそうだった



「あんな瞬初めて見たよ。○○、やるなあ」


アキラが感心した顔で主人公を見た



主人公は鼻をぐずらせた

「私・・なんもしてないよ・・?」



大翔が制服の袖で主人公の目の涙をゴシゴシと拭いて



「俺がすげーって認めてる女なんだから、自信もて」



大翔は優しくそう言った



「大翔って○○には優しいよなー。」


アキラが怪しそうな顔つきで大翔を腕でつつく


「ほんとー!!ひいき反対~!!」

栄子も反対から大翔を腕でつつく


「なっ・・・!!そんなことねーよ・・!!」



真っ赤になった顔に余計に冷やかす栄子とアキラ


大翔は真っ赤になりながら怒り出し、しまいには赤鬼と呼ばれ出す始末。



いつのまにか主人公も
涙も乾き、笑顔になった






───それから数日がたっても瞬は学校へ来なかった


「なんかあったのかな~?」
栄子はアキラに問いかけた


「電話してもアイツ電源入ってねーんだよな。ただでさえ携帯触らないやつだからな・・」



「部活とか大丈夫なのかな・・」


心配する主人公


「俺、一応先生んとこに事情話してくるわ。」


大翔と一緒に主人公も職員室へ行くことにした






────職員室



「佐藤先生。」



「おー。○○に・・風間も・・どうした?交際宣言か?」


「先生がそんな発言いいんですか・・」


主人公は呆れた



「で、どうした?化学でも聞きに来たのか?」



「いや、伊吹のことなんですけど・・・」






「ああ、アメリカ行ったらしいな?」



佐藤先生は笑顔でさらっと言った



「え・・?」




「川瀬コーチから連絡があってな。いつ帰国するかもわからないらしいな。いや~・・伊吹にもそんな根性あったんだな。」


ははっと笑う佐藤先生をみて二人は驚いた



「・・・って学校的に大丈夫なんですか?」



「まあ、伊吹はスポーツ推薦だしなあ。
あいつ、コーチに大会にはちゃんとした記録だすって約束したらしい。伊吹が自分から言い出したことだ。俺はそれを信じる。」




「・・・・・」



(なんて生徒思いな先生・・)



二人とも佐藤先生の印象が変わりつつあった





教室へ帰り、アキラと栄子に話すと、二人も驚いていた



「学校の緩さと先生の優しさにびっくりだわ。」


「でも佐藤先生さ、俺初めバスケの監督がコイツ?って疑ってたんだよな。でもすんげー上手い。ほんと生徒思いな先生なんだよな」



「まあなにがびっくりって瞬がアメリカへ行ったことだよな・・」



大翔は冷静に言った



「でも・・伊吹くん、これで後悔せずにすんだね。よかった・・」


アキラと栄子も「ほんとにねー」と頷いてそれから違う話をしていたが、大翔だけは何もしゃべらず、主人公を見ていた─────………。





──────放課後



マネージャーの仕事にもだんだん慣れてきて、サッカー部の先輩やメンバーの名前も覚えてきた。




休憩時間になり、ドリンクを配っていると、神坂先輩が主人公のもとへきた



「お疲れさまです」



「お疲れ。○○ちゃんの笑顔みたら疲れ吹っ飛ぶなあ」



「神坂先輩はほんと口がうまいんだから!!」



「ほんとだって!!

ね、○○ちゃんと大翔って実際どうなの?」


「どうって…付き合ってないですよ?風間くんは優しいから構ってくれるだけです」



「えー…大翔は女に興味ないって有名なんだけどな・・。」



神坂先輩はなにか考えて、


「ねえ、俺のこと、どう思う?」


「どうって…優しくていい先輩だなあって」



「悪い印象ではないんだよね?」



「まあ・・・」



二次元に恋するお年頃-261326832.jpg



「なら俺にもチャンスはあるってことか・・・」


神坂はボソっとつぶやいた


「え・・?」



「いや、○○ちゃんの笑顔もみれたし、頑張ってくるよ。じゃあね」


飲み干したコップを渡し、神坂先輩はまた



「いいなあ~○○」


近づいてきたのは栄子だった


「いいなあって何が?」


「神坂先輩じゃん!!○○にはなんか優しくない~?」

「えー神坂先輩みんなに優しいと思うけど・・」


「えぇ~そうかなあ?」
すこしすねたように栄子は口をとがらした


「なに、もしかして栄子・・」


「いいなあって思うけど・・・・そーゆー感情が練習の邪魔になるなら・・。」



「ええ!!あきらめたらだめだよ。頑張ろ?」




「そういう○○は?伊吹くんのこと気になってるのは薄々気づいてたけど・・・・風間くんなら幸せにしてもらえそうだけどね?」



「もー!!まだ言ってるの?あんな人気な風間くんが私なんか相手にすると思う?私は単にからかわれてるだけだよ!!」



「そうかな~?」



「そうだよ!!ほら、コップ洗いにいこ!!」





二人が洗いに行ったのを見て、神坂先輩が

「かわいいよなあ」

とつぶやいた



「それ、マネージャー二人に対して言ってるんですか?」


大翔が突っかかってきた

「・・・・違うって言ったら?」



「・・・・」


大翔は黙った



「んだよー冗談だよ。二人とも可愛くないか?マネージャーが可愛いと華があっていいよなあ」




「・・・・神坂先輩は誰にでも可愛いって言えるんすね。

俺は本気で好きな奴にしか言いたくない。」



そう言って大翔は去った






──────練習後


栄子が早退したため、一人で帰っていた




校門の横にある木の前で誰かがいた


「?」


近づくと大翔だった



二次元に恋するお年頃-F1080008.jpg




「おせーぞ」



「わ・・私?」



「おー。俺を待たせるとはいい度胸してんじゃねーの?」




「約束してたっけ・・・??」



「最近のおまえなんか元気ねーから。俺が嫌なこと忘れさせてやるよ!!!!!!ほら、いくぞ!!!!」





主人公は大翔に手を引っ張られた




「えっちょっ・・今からどこいくの??」


「あー?んなもんお楽しみだよ。行くぞ!!」



手をつなぎながら二人は走り出した



主人公は今の状況についていけなかったが、大翔の顔を見ると、目があって優しく笑ってくれた





(風間くんの手、あったかい──……………)




そう思いながら、主人公は大翔の行くままに着いていった