※登場してないキャラ、もしくは設定された学年が違っている場合がありますが、オリジナルなためご了承ください・・m(_ _)m




あれから、あの女の子達はちゃんと謝りにきてジャージ代も断ったというのに、払ってくれた。



(伊吹くんのおかげだよ・・ほんと)



主人公の中で伊吹の存在は大きくなっていた





ある日



昼休み、大翔、アキラ、栄子、主人公で集まって話していた



「そういえばさー、風間くんと来栖くんは中学の時彼女いたの?」



「いや、いない」



二人は声を揃えてキッパリと言った



「だってなー、俺らの中学部活厳しくて恋愛どころじゃなかったしな」



「だよな。特に大翔はあの頃今以上に女興味なかったしなー」


「へえ~」



「アキラもなー、一時期やんちゃしてた時なんかどん引きだったよなー」


「どうやばいの?」



「ほら」



二次元に恋するお年頃-282963665.jpg



大翔がぴらっと見せた写真には、ドレッドヘアーのアキラが写っている




「てめっ・・いつのまに・・!!」




「うわー怖い!!」
「スポーツマンじゃない!!」

二人は笑って写真を眺めていた



「あっでも、瞬はいたよな」



その瞬間栄子と主人公は我に返った


「えー!!伊吹くん、彼女とか作らなさそうなのに!!」



栄子が興奮しているとアキラが


「最初で最後じゃねー?瞬に女ができるのなんて。瞬本気だったし」



と言った


「なんで別れたの・・?」


主人公が聞くと大翔が


「よくわかんねぇけど・・・急に学校辞めたんだ。




・・・・あっ!!!」



大翔が大声で言うと三人はビクッした


「どっ・・どうっ・・」



「そういえば俺、つい最近アイツをみた」



「渚を…?」



彼女は渚というらしい




「ああ・・日曜の試合の帰り・・。

多分あいつ・・

いや、絶対あれは渚だった。」



そう言ってる途中で伊吹がトイレから帰ってきた


大翔が伊吹のもとへ行った



「おい、瞬」


「なに…?」




「あいつ・・・・渚を・・最近みた。」





主人公は伊吹の顔を遠くから伺っていた




「・・・・アイツを・・?」




「あいつ、なんか様子変だった。俺のこと普通に無視して・・・・。
なんかあったんじゃねーの?」





「・・・・」




伊吹が動揺していたのを主人公は気づいていた───…。







───そして水曜日



あれから水曜日のジョギングは毎回行われるようになった




少しずつだが、伊吹からも話をかけてくれるようになっていた



しかし今日の主人公は少し元気がなかった




(渚って人・・・どんな人だったのかな・・)



主人公はそればかり気にしていた





その時



「なに考えてんの?」


伊吹が横からのぞき込んだ



主人公はあわてて
「べっ別になにも・・・!!」
と否定すると





「嘘つくの下手だよなあ・・○○って。

ほら、いこ」




二人は走り出した






河原につき、休憩することにした




「だいぶ体力ついたんじゃない?」



「うん!!最近は筋肉痛にもならないし!!」


と言うと伊吹は


「どんだけ運動してなかったんだよ・・」


とふっと笑った



その顔をみた時、主人公は胸がぎゅっとなった



(彼女のこと・・聞いていいかな・・)




「・・・伊吹くん」




「なに?」





「渚さんのことなんだけど・・・」





伊吹の顔つきが変わった



「聞いてもいいかな?」





「・・・・・」



伊吹は黙った




(やっやっぱり聞かなきゃよかったかな・・・・でも…)



主人公がオロオロした顔で伊吹の顔をチラっと見ると、伊吹は何か吹っ切れたように「ふぅ」と息をはいた





「誰にも言うつもりなかったけどな。お前には言ってもいいかな」


伊吹は話し出した




「俺女が苦手なんだよな。

俺が水泳がうまいと知ったとたん女達はコロッと態度変えてくる。

だけど、俺が体調悪くなってタイムも落ちていった時、コーチも女も、俺を呆れた顔で見捨てていった。」


「・・・・・。」



「だけど渚は違った。
中学でアイツと出会った。
アイツは俺の能力じゃなく、俺自身に惹かれてくれた。
タイムが落ちてもずっと応援してくれてたんだ。だけど・・・」




「だけど・・・?」




「アイツ、急に家族ごと消えたんだ。

学校も辞めてた。
連絡も繋がらなかった。
渚を知る人は誰もいなくなってた─……」




「・・・・。」



「渚がいなくなる前の日、アイツと帰る約束してたんだ。
でも、結局大会前で忙しくて、先帰るように言った。
アイツは待つっていったのに、俺は帰れってキツく言った・・」







「その時・・・アイツはなにか俺に言いたかったのかもしれない・・・」


(伊吹の表情を見なくてもわかる

すごく、辛そう・・。)



「・・・・・・・」







「・・まあ、もう終わったことだし・・・そろそろ帰ろうぜ」



すくっと伊吹は立ち上がり、主人公に手を差し伸べてまた、走り出した




しかし、主人公は
なぜか胸が痛かった





(伊吹くんはまだ渚さんが忘れられないんだ──・・)






主人公はその日眠れなかった







────次の日、主人公は暗い表情のまま授業を受けていた



一方で伊吹はずっと窓を見ていた





(何考えてるんだろ・・・)

主人公は伊吹が気になって仕方なかった






「○○っ!!」


後ろから栄子がくる



「ん?」



「今日サッカー休みらしいからさ、スコアブック買いにいかない?」


「もうなかったしねー」



「なんだよ栄子、今日サッカー無いのかよ」



「らしいよ~。監督が腰痛めたとか・・」


「監督も年だからなあ・・。なら、俺もついていってやるよ」



「いや、いい」

栄子は即答した


「んだよ、つめてーな。」



「だって風間くんと一緒とか、目離したらどこ行くかわかんないし」



「俺はガキか!!」


「うん」


二人は即答した



「お前ら・・・」






結局三人でスポーツショップへ行くことになった



向かってる途中、栄子が
「わあ!!!ここの服、結構好きなの!!見てきていい?」


「早くしろよ」


「わーい!!」
栄子は走ってお店へ入る


「あ、じゃあ私も・・」と主人公も行こうとすると引っ張られて、後ろから抱きしめられた




二次元に恋するお年頃-F1080010.jpg


「行かせねーよ」




「ちょっ・・」


主人公はジタバタしたが、大翔の力にはかなわなかった




「やっと二人っきりになれたしな」



主人公は顔があつくなった


「ちょっ・・・怒るよ!!」



大翔は主人公の反応をみて楽しんでいる


「おー!!やってみ・・・・・───。」




大翔の声が急に無くなり後ろをみた


「か・・ざまくん・・?」




「・・ぎさ・・・


渚!!!!!」




大翔は主人公をパッと離し、すれ違った女の肩をガシッと掴んだ



「きゃッ!!・・あっ・・


大翔!!」



「やっぱり──…。」







ショートカットでぱっちりとした目をした女の子

それが、渚だった─…