最近、機能性甲状腺結節の患者さんを何人か診察したので、この病気について記事にしたいと思います。

 

 甲状腺の細胞は、下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の刺激を受けて、甲状腺ホルモンを産生します。甲状腺にできた結節性病変(しこり)が、TSHの刺激とは関係なくホルモンを産生するようになると、機能性結節と呼ばれます。要するに甲状腺にできたしこりが、好き勝手に甲状腺ホルモンを産生している状態です。

 

 好き勝手の度合いが軽ければほとんど症状は出ませんが、度が過ぎると明らかな甲状腺中毒症となって、脈が速くなったり汗が多くなったりします。

 

 この病気、いろいろな名称で呼ばれています。自律的にホルモンを産生しているので「自律性機能性甲状腺結節」と呼ばれることもありますし、ホルモンを産生している結節(しこり)が複数あると「中毒性多結節性甲状腺腫」と呼ばれます。また、この病気はPlummerさんが初めて報告したので「プランマー病」とも呼ばれますが、最近ではあまり使われなくなってきたようです。このような複数の名称も、本当は区別して使われるようなのですが、複雑で私もよく分かりませんので、一般の方はみんな同じようなものと考えて問題ないでしょう。

 

 どのようなときに機能性結節を疑うのか。甲状腺にしこりがあって、(潜在性も含め)甲状腺中毒症の状態の時です。もちろんバセドウ病と区別しなければならないので、TRAb(TSH受容体抗体)が高くないことを確認する必要があります。

 

 甲状腺にしこりがあって、甲状腺機能検査ではいつもTSHがやや低い。たいしたことはないから気にしなくていいですよと言われている。そんな方はもしかすると機能性結節かもしれません。

 

 機能性結節かどうかは甲状腺シンチグラムによって診断できます。SPECT/CTという装置を使うとよりはっきりと診断が可能です。