甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS、レボチロキシン)はいつ飲んだらよいか?の記事を書いてから2年たちましたが、相変わらず「甲状腺ホルモン剤はいつ飲んでもいいです」と言っています。でも薬の吸収が良いのは空腹時ですので、不妊治療中などでしっかりとコントロールしたい患者さんには原則として起床時内服を勧めています。

 

 「寝る前」に内服するように言われることがありますが、寝る前が必ずしも空腹とは限らないこと、朝に内服していれば、その時飲み忘れても昼や夜に飲むことができることを考えると、起床時に内服というのがいいと思います(1日飲み忘れても、翌日に倍量内服して問題ありませんので、「寝る前」内服でも悪くはありません)。

 

 胃薬や鉄剤などは、同時に服用すると甲状腺ホルモン剤の吸収が悪くなると言われています。調子が悪いときに数回胃薬を飲む程度なら、同時に飲んでも大した影響はありませんが、定期的に内服しているような場合は、時間をずらして飲んだほうがいいでしょう。たいていの場合、甲状腺ホルモン剤の内服時間を変えることになります。

 

 現在、食後に内服していたり、胃薬などと一緒に内服していたりする方で、甲状腺機能が安定しているのであれば、内服のタイミングをわざわざ変更する必要はありません。

 

 ここまで読んでいただくと、やっぱり「いつ飲んでもいいんじゃないか」と思うのではないでしょうか。

 

 甲状腺ホルモン剤を内服中に甲状腺機能が変動してしまうのは、内服がしっかりできていないのが大きな原因です。きちんと飲めないのであれば、週に1回、1週間分の薬をまとめて飲んでも問題ないという報告もあるくらいです(あまりお勧めしませんが)。

 

 飲み忘れの多い方には、とりあえずいつでもいいので1日1回は飲むように、とお話ししています。薬を飲むタイミングには、あまり神経質にならなくてもいいと思います。