2. 妊娠を計画している女性の甲状腺機能低下症の管理

 

<自然妊娠の場合(生殖補助医療の経験なし)>

・潜在性機能低下症であるが、甲状腺自己抗体(TgAb/TPOAb)陰性の場合

 このような女性の妊孕性が、甲状腺ホルモン補充で改善するという十分な証拠はないが、妊娠が成立した際に明らかな機能低下症に進展するのを防ぐために、甲状腺ホルモン剤の投与を考慮してもよい。

 

・甲状腺自己抗体(TgAb/TPOAb)陽性であるが、甲状腺機能正常の場合

 このような女性の妊孕性が、甲状腺ホルモン補充で改善するという十分な証拠はない。そのため、甲状腺ホルモン剤の投与は推奨しない。

 

 

<生殖補助医療を受けている場合>

・甲状腺機能正常だが、TPOAb陽性の場合

 流・早産歴のある女性が新たに妊娠した場合、甲状腺ホルモン剤の投与によって流・早産の危険性を減らせるかについては十分な証拠がない。しかし利益がある可能性を考えて、25~50μgで甲状腺ホルモン剤の投与開始を考慮してもよい。

 

・TPOAbにかかわらず、TSHが基準値上限を超える、あるいは明らかな甲状腺機能低下症の場合

 甲状腺ホルモン剤による補充療法が推奨され、TSHの目標値は2.5未満である。