様々な理由で反回神経を切断した場合、その後どうしたらよいのでしょうか。
切った神経を切りっぱなしではよくありません。神経をもう一度つなぎ合わせます。あの1mm程度の神経の断端を、糸でつなぐのです。これが反回神経再建術です。
例えば、誤って反回神経を切ってしまった場合、断端をもう一度つなぎ合わせます。するといずれ神経がつながって、また声帯の動きが回復します、などということはありません。実は神経をつなぎ合わせても、声帯の動きは回復しません。反回神経は一度切断してしまうと、どんなことをしても声帯の動きを復活させることができないのです。それにはきちんとした理由があります。
反回神経は1mmくらいの太さがありますが、実際の神経線維はそれよりはるかに細いのだと以前記事にしました。そして、声帯を動かす神経線維には2種類あって、声帯を開くように働く神経線維と、声帯を閉じるように働く神経線維があります。それらが束になって、1mm程度の反回神経の中を走っているのです。それを切って、またつなぐとどうなるか。確かに神経線維はつながります。しかし2種類の神経線維が同じ種類どうしではつながらないのです。もちろん同じ種類どうしでつながることもあるでしょうが、声帯を開く線維と閉じる線維がつながってしまうのです。すると、脳では声帯を開こうとしても、声帯を開く筋肉と閉じる筋肉が同時に収縮してしまいます。声帯筋は閉じる筋肉のほうが強いので、閉じた状態で動かない、というわけです。
つないでも動くようにならないなら、つなぐ意味がないじゃないか、と思うでしょう。実はつないでも動くようにならないから、つなぐ必要はないと言われていた時代がありました。しかし、最近ではできる限りつないだほうがよいと言われています。