大濾胞型乳頭癌は、その文字の通り、濾胞型乳頭癌よりも大きな濾胞構造を持つ腫瘍です。濾胞型乳頭癌と同様に、腫瘍細胞の核は乳頭癌の特徴を有しています。頻度は乳頭癌の中の1%未満で、まれな腫瘍だと思います。

 

 大濾胞型乳頭癌の超音波所見は、良性のパターンを示すことが多いので、超音波検査だけでは区別できません。濾胞型乳頭癌と同様に細胞診が役に立ちます。

 

 悪性度についても濾胞型乳頭癌と同様で、かなり悪性度の低い腫瘍だと考えられています。

 

 超音波の所見というのはとても大事です。大濾胞型乳頭癌は、ほとんど良性に見えてしまいます。したがって、小さな腫瘍は細胞診もせずに、経過観察となることも多いです。経過観察となった場合、がんを見逃しているということになるわけですが、それでも大きな問題になることはほとんどありません(まれですが遠隔転移も起こす場合があるので、注意しなければなりませんが)。超音波で良性に見えるものは、悪性であっても非常におとなしいことが多いからです(術前は良性を疑っていた腫瘍、術後に乳頭癌だと分かったら再手術が必要かも参照)。周囲への浸潤がほとんどない、リンパ節転移が少ないなどと報告されています。増大してから細胞診を行って、乳頭癌が疑われるというケースでは、この大濾胞型乳頭癌である場合があります。