甲状腺濾胞癌は進展の程度によって二つに分類されます。広汎浸潤型と微少浸潤型の二種類です。

 

 濾胞癌は被膜浸潤あるいは脈管浸潤によって診断されます。前回の記事(甲状腺濾胞癌について)を参考にしてください。

 

 広汎浸潤型とは、肉眼でも分かるくらい浸潤が広範囲にあるものをいいます。例えば切除した腫瘍の断面を見たとき、腫瘍の被膜を突き破って外側に突出している様子が肉眼でも分かる場合などです。また顕微鏡で見たときに、多数の血管内に腫瘍が入り込んでいる場合にも広汎浸潤型と診断されます。

 

 それに対し微少浸潤型は、小さな被膜浸潤や少数の脈管浸潤を認める場合に診断されます。これは顕微鏡レベルでの話になります。

 

 以上のように、濾胞癌は切除した腫瘍を肉眼的、顕微鏡的に見て診断、分類されます。したがって、術前に診断することは原則として困難です(「原則として」と書いたのは、術前に分かることもあるからです。それは後日書きます。)。

 

 やはり広汎浸潤型のほうが微少浸潤型よりも生命予後(命にかかわるかどうか)は悪い傾向があります。また、被膜浸潤よりも脈管浸潤のほうが悪性度に寄与するようです(脈管浸潤は血管内に腫瘍が入ること、つまり転移を示唆するからです)。