CT検査の目的は、①腫瘍の周囲臓器との関係を見る、②リンパ節転移の診断、③遠隔転移の診断、などです。それぞれもう少し詳しく説明します。

 

①甲状腺周辺には重要臓器があります。空気の通り道である気管、声帯を動かすための神経(反回神経)、脳と心臓とをつなぐ血管(総頸動脈、内頸静脈)などです。腫瘍がこれらの重要な構造物に接していると腫瘍が浸潤している可能性があり、その場合は合併切除が必要になります。どの程度接しているか、圧迫している所見はないかなどをCTで確認します。

 

②リンパ節転移の診断にもCT検査が行われます。超音波では見えないような部分(顎の下や胸の中のリンパ節)の診断に特に有用です。造影剤を点滴しながら行うCT検査(造影CT)は、血管とリンパ節の関係をより詳しく見ることができます。

 

③乳頭癌はリンパ節転移が圧倒的に多いのですが、肺や骨に遠隔転移することもあります。遠隔転移で最も多い肺転移の診断のためにCT検査を行います。骨転移や脳転移の診断にも使われますが、この場合はMRIのほうがより正確に診断できます。

 

 だいたい以上のような目的でCT検査が行われます。CT検査は補助診断ですので、最初からやる検査ではない(最初にやるのは超音波検査です)ことを覚えておくといいでしょう。