こんにちは。本日のイチオシは、スタジオジブリ作品の中で最強の問題作であり、宮崎吾郎初監督作品である「ゲド戦記」です。

 

 私は「ゲド戦記」は原作未チェックなので、このアニメ映画がどれだけ原作を冒とくしているのか、あるいはリスペクトしているのかは分かりません。あくまでもアニメ映画としてどうなのかと言う立場で、自分の私見を述べるにとどめます。

 

 You Tubeの某動画に影響されて、もう一度見ようと思ってDVDを買ってみた「ゲド戦記」は、見てみるとなかなか面白かったのですが、この映画は、当り前ですが宮崎駿の作品ではないので、似た様な絵柄とはいえ全く違う別作品です。

 それに、です。この映画は、原作が「ゲド戦記」である必要は一片たりともありません。更に言うと、あんなに凄いアニメスタジオで作る必要もないのです。もしかしたら、アニメ映画である必要すらなかったかもしれません。

 何が言いたいのかと言うと、この映画は、作られた体制が、作品の持つメッセージに比べると、あまりにも豪華すぎたのが問題なのではないか、と言う事です。早い話、この映画、小さい映画祭にて発表する50分くらいの短編映画でも十分なんですよ。テーマやメッセージは、思い切り現代社会向けですし、スケール的にも作品の尺は50分程度で十分です。

 作るスタジオは日本のアニメ業界最高峰のスタジオであるジブリで、原作は世界3大ファンタジーの1つ、監督は天才・宮崎駿の息子の宮崎吾郎、此処まで来ると、作品の持つテーマやメッセージが壮大かつ感動的なものになると連想してしまうのでしょうが、そんな事はありません。テーマやメッセージは非常に個人的かつ現代的であり、出て来るビジョンは全て「空想的」ではなくて「現実的」です。吾郎が天才なのかどうかは判断しかねるので保留しておきます。

 では、その個人的かつ現代的なテーマとは何か、と言うと、これは夢を無くした現代に生きる若者向けに、監督が「前向きに生きよう」と呼び掛けているのです。先述の通り、私は原作未読なので、それがゲド戦記のメッセージなのかどうかは知りませんので、それが正しいのかどうかは判断しかねます。

 ジブリ作品としては問題ありなこの作品ですが、見る際には宮崎吾郎初監督作品として見るのが正しい姿勢だと思います。これから見ようと思っている人は、それを肝に銘じてみると、印象が違うかもしれません。