Amazonの激安グリップヒーターについて
こんな類の商品について解説します。
まず総括。お勧めできない。
- 信頼性……★☆☆☆☆ 悪い。加工と改造が必須
- 防水性……★☆☆☆☆ 悪い。スイッチが非防水
- 自由度……利用者の技量次第
- 暖かさ……利用者の技量次第(最大40Wぐらい、12V電源だから強力。USBの5V電源よりはるかに強力。)
電気の自作がよく分からない人は、絶対に手を出したら駄目。
車両火災になる。時間も掛かる。
8000~12000円ぐらい出せば、一流メーカーの40Wクラス(真冬も楽勝)のグリップヒーターが手に入る。
この商品はどんな人にお勧め?
- 電気回路の自作が出来る人
- スイッチの防水ケースが作れる人
試行錯誤の結果完成させまして、2022年~23年にかけての年越し宗谷アタック(北海道)で使いました。暖かかった。
■グリップヒーターの概要
グリップ左右で1000円程度の激安グリップヒーター。自前での配線加工を前提としており、ヒーター自体をグリップに巻いて熱収縮チューブ(熱湯をかける)でカバーするだけの簡易仕様。
強弱2段階の切り替えスイッチ付き。
しかしこの強弱の機能、超ポンコツ。ダメダメである。
理由は以下の通り。
強……28.8W (片手14.4W)
弱……7.2W(片手3.6W)弱すぎる
強はアッツアツ、弱は弱すぎ。
この極端な出力差は、制御回路が原因。
■回路と問題点
上記は、強・弱それぞれの電気の流れ方(赤い矢印↓)を示している。
強側はフルパワー状態。並列接続されたヒーターに電気が流れる。文句ない熱さである。熱すぎて文句が出る。
問題は弱側。
スイッチ直下の右側回路に、太い電線がある。この電線は抵抗代わりのニクロム線(発熱する)である。正しくはシリコンヒーターという名称らしい。このコードが、グリップヒーターと同じだけ発熱して熱を捨てているのである。等価回路で表すと、ヒーターが直列2段重ねになっている。
※ニクロム線で熱として捨てているのは、べつに悪いことではない。ただ、バイクのヒーターの制御としては不適。例えば、余ったケーブルを束ねたら、バイクやケースが溶けたり燃えたりするかも
細かな計算は省くが、こりゃ弱が弱すぎる訳である。片手の発熱が3.6Wなど、手袋越しでは何も感じない。素手でもギリギリ感じるか否かだろう。しかも、このシリコンコードヒーターが0.15mmと細く、すぐに断線する。バイクの振動に耐えられる代物ではない。
■作りが悪い箇所一覧
・ヒーターの接点(ハトメ)がむき出し。防水性なし。雨水が侵入する。
→ゴム接着剤で隙間を塞いだ
・黒い線がシリコンヒーター。芯材のガラス繊維に、0.15mmのニクロム線が螺旋状に巻いてある。カシメ部の金属疲労で、簡単に折れる。
→制御回路を自作した
・防水性の無いスイッチ
・配線がはんだ付けされていない。導線を巻き付けてあるだけ。熱収縮チューブを剥ぎ取ると現れる。
→別のスイッチを使用した
次回はヒーター回路の組み方編をお伝えします。