まえがき
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休日を使ってホームセンターへ行くも、M6左ねじのダイスが見つからず帰宅。結局アマゾンで頼んだ。評判の微妙なuxcellブランドのダイスだったが、無事にネジが切れたので一安心。ねじ切り作業のコツも掴めて面白かったが、それは技術情報?をまとめた後日談に書くこととする。
素材の選定
シフトロッドの材料として、ホームセンターで簡単に手に入る「ロープ止め丸型」をチョイス。1本80円、太さ6mm、全長270mm、素材はスチール。この材料を選んだ理由は以下の通り。
- スチールなので加工性がいい。ねじ切りが容易。 ※ステンレススチールではないよ!
- 十分な強度。自分はキャンプのペグで使用している。ハンマーで叩いても割れず、粘り強い。
- 過大な力が加われば変形するので、もし転倒してもバイク本体へのダメージが少ない。(程よく弱い)
- 安い。安い。どこでも売ってる。
SRX400の純正(と思われる)シフトロッドはたぶん鉄製。ステンレスじゃ無いと思う理由は次の通り。
- ステンレスは加工がむずかしい素材なので、シフトロッドには使わない
- スレンテスと鉄が触れると電触(電池が出来て錆びる)ので、鉄部品の多い所では使用されない
- ステンレスは加工硬化(変形すると硬くなる)するので、わざわざローレット加工しない。
以上を以って、安くてどこでも買えるロープ止め丸形を使用。
設計図を描こう
直径6mmのマルカンを素材とし全長195mmのシフトロッドを作成する。 ロッドの仕様は下記の通り
ねじ直径 …… 6ミリ
ピッチ …… 1.0mm、左端は正ネジ、右端は左ねじ(逆ネジ)
ネジ長 …… 20mm + 切り代5mm
A4用紙に収まるサイズの部品なので、原寸で図面を書く。疲れて意識が朦朧としても、原寸サイズの図面で確認しながら作業をすればミスが減る。作業ミスをリカバリできるよう、50mmほど長めに材料を切断する。(フラグ)
ダイスでねじ切り作業(難産)
先端を削ってテーパーを付ける
ねじ切りダイスの食いつきをよくするため、ロッドが先細りするよう削る。角度が浅いほど、楽に正確に食いつく。このテーパー角が急だったり、凸凹だとダイスが綺麗に食いつかず、ネジ山が坊主になったり、斜めになる。丁寧に、慎重に削る。
ダイス加工1、左ねじ(逆ネジ)側
ロッドを万力で固定する。万力単体の力では滑って回ってしまうので、シャコマン2個を加勢。ふつうこんな使い方しない。ハンドルを真上から押さえられないし、力が加えづらいし、手が滑ってあぶない。台所ガレージの限界である。
テーパーが十分浅く長いので、そこそこの力でダイスが食い込んでいく。1/8週切ったら1週戻して切り粉を裁つ。斜行していれば修正しながら削る。切削油(なんでもいい)を忘れずに。最初は少しずつ進めるがよし。のちに正ネジ側で一気切りをし、斜行してやり直しするハメになる。
左ねじは綺麗に切れた。やるじゃんAmazonの900円ダイス。全長が少々長いが、長さの調整のために最後に切り落とす。
正ネジを切る(失敗編)
逆側の正ネジを切る。テーパー角の先端はネジとして仕事をしないので、周辺だけ斜めに削り時間を短縮。ダイスの逆回転による切り粉落としも時間がかかるので、1~2週毎に1週戻しのほぼ一気切りにて進行する。
おかーーーーさーーーーーんっ!!
やっちまった。最初のテーパーをけちって方向が安定せず、修正もおぼつかないまま軸の狂ったネジが出来た。切り進めるにつれハンドルが重くなる違和感を無視した結果である。立ち止まる大切さよ……。
幸いなことに、材料の全長を50mm長く用意していたので、失敗部分を切除してネジを切り直した。ビビリ精神万歳。
正ネジを切る(リベンジ編)
頭のテーパーを十分にとり、切削油も多め。少し切っては1週戻しを繰り返しながら切り進める。ときどき全部抜いて確認。これをひたすら繰り返す。いいぞぉ~。斜行を感じだらいったん逆回転させ、矯正したい方向へ力を加えながら削る、次の週には治ってる。そのためにも、ちょっと削って1週戻しが大変有効。無事に切り終えることができた。