
(前記事から続く)
イコールの続きの
平衡
に関してです。
平衡はバランスとも言います。
ペタいただいた方の記事の中に面白い例がありました。
ダイエットをする際に絶対に変わらない鉄則があるのだそうです。
摂取カロリーより使用カロリーの方が多いこと
だそうです。
「絶対」と自信を持って言い切れるだけ強固な原理が土台にありそうですが、
化学で勉強する
ルシャトリエの法則(原理)
が少し似ています。
摂取カロリーと使用カロリー(消費カロリー)が
「等しい」
と、体重は増えも減りもしないわけです。
この状態が
「平衡状態」
です。
摂取カロリーを増やすとどうなるかというと、
摂取カロリーと使用カロリーが
「等しくない」
状態になるので平衡状態ではなくなります。
そして
体重が増えます。
そこまでは誰でもわかります。
しかし、そのままの生活を続けたらどうなるでしょうか?
「限りなく体重が増え続ける。」
が単純な理屈上の正解になります。つまり、100kg→200kg→300kgと、生きている限り青天井で体重が増え続けます。
なぜなら毎日必ずカロリーが余るため生きている限り「余り」が蓄積されつづけてしまうからです。
ちなみに
摂取カロリーを増やすのではなく、使用カロリーを減らした場合も同じです。
しかし・・・
現実にはそうならないような気がします。
いくら体重が増えると言ってもどこかで止まります。
最大の理由は、
体重が増えるとその分代謝も増え自動的に使用カロリーが増えるからです。体重が増えると歩くのにだって普段よりたくさんエネルギーが必要になるわけですし、心臓の負担も増えます。体温を維持するためだけでもそれだけ多くカロリーを必要とします。
そういうわけで現実の体重増加は、摂取カロリーと使用カロリーがつり合うところまでです。
このつり合った状態のことを
「平衡」状態
と言います。
もちろん、
「だから太らない」
という意味ではありません。
摂取カロリーと使用カロリーが再び平衡状態になるまで
「太り続ける」
という意味です。
摂取カロリーを減らしたり使用カロリーを増やす場合も同じです。この場合も、
限りなく痩せ続ける
というわけではありません。
やせることにより代謝が減って使用カロリーが減り、摂取カロリーとちょうどイコールになった状態(平衡状態)の体重で安定するはずです。
だから、ダイエットに成功しても、摂取カロリーと使用カロリーのバランスを元の状態に戻せば、しばらくして体重も元に戻るでしょう。
摂取カロリーが使用カロリーを上回った場合、体重を増加させることにより使用カロリーを増やし、新たな平衡状態に移動します。
摂取カロリーが使用カロリーを下回った場合、体重を減少させることにより使用カロリーを減らし、新たな平衡状態に移動します。
上記の意味では
摂取カロリーの減少と
使用カロリーの増加
とは同じこととして区別しません。
地球の問題と比較してみます。
よく似ているのは
温室効果や放射冷却です。
地球の気温は
太陽から入ってくる熱(摂取カロリーに相当)だけでなく、
地球から出て行く熱(使用カロリーに相当)
にも支配されています。
地球から出て行く熱は
地球の温度が高いほど多くなります。
ちょうど体重が多いほど使用カロリーが多くなることに相当します。
以上の条件で
体重コントロール(ダイエット)と同様の構造が成立します。
ダイエットで
摂取カロリーの増減
よりもむしろ、
使用カロリーの増減
が重視されるように、
地球温暖化も
地球に入ってくる熱(太陽放射)の変化
よりもむしろ、
地球から出て行く熱(地球放射)の変化
の方が主原因と考えられています。
ふつう、
地球の摂取カロリー(地球に入ってくる熱=太陽放射)は
あまり変化しないという前提で考えます。
地球の消費カロリー(地球から出て行く熱=地球放射)は
通常は
地球に入ってくる太陽放射と平衡状態にあります。
大気中の二酸化炭素やメタンや水蒸気は地球から宇宙に出て行こうとする熱を吸収する性質があります。吸収する性質とは熱をため込んでしまう性質ということです。これにより地球から出て行く熱(使用カロリーに相当)が減るのでより気温を上昇させること(体重を増やすことに相当)で地球放射(使用カロリーに相当)を増やし平衡状態を移動させてバランスをとろうとします。
逆に真冬のよく晴れた朝などは大気中の水蒸気が少ないので気温が下がります。これが放射冷却です。
従って二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中に増えることは、
ダイエットの話にたとえるなら、
地球が、カロリーを「ためこみやすい体質」
になってしまうことに相当します。
この関係は家計にも現れます。
収入より支出の方が多くなってしまうと、貯蓄は減り続けますが、やがて財布の紐が固くなり、生活水準を低下させることで平衡状態になるとそれ以上お金は減らなくなります。もちろんこの状態でも見栄を張り続けて高い生活水準をつづけたら破産します。
支出より収入が多ければお金はどこまでも増え続けるはずなのですが、なぜか財布の紐がゆるみ、生活水準を上げてしまいます。お金が増えると周囲が放っておきませんし。とにかくたいていの場合、平衡状態が高生活水準に移動するだけでお金は増えも減りもしなくなります。市場経済はこうなることを前提に計画されているので、貯蓄傾向(ためこみやすい体質)の強い日本人は困るのだそうですが、
そういう理論に合わせるために自分の生き方を見直すというならそれもまた本末転倒です。
平衡は至る所に現れます。
溶解平衡、化学平衡、熱平衡、侵食と堆積の平衡、出生数と死亡数の平衡・・・
ほか、いちいち名前の付いていない平衡関係が身の回りの至る所に潜んでいます。それを発見してゆくことが勉強の醍醐味です。
そして、
一時的に「平衡」が崩れているときが「変化」のときです。だからこの記事は前の方の記事「勉強の構造2-変化」の補足です。
摂取カロリーから使用カロリーを引いた値を時間で割れば、その値の積分が体重に比例するという関係になるはず。
瞬間視聴率も、デパートの中の客数と出入りの客数との関係も、海や湖に出入りする水(蒸発も含む)と水位の関係も、
みなこの関係にあります。
