朝のフジテレビのニュースで
北朝鮮が人工衛星と称して打ち上げた
「事実上のミサイル」
について、
高度500km
軌道傾斜角97度(極軌道)くらい
と報道されました。
番組によると
衛星軌道に乗った人工物体(事実上のミサイル)は洗濯機くらいの大きさだそうです。
高度500kmとはどんな高さでしょう?
オーロラの発光するのが
100kmから500km
流星の発光が
高度100km前後
だそうです。
他のミサイルと
比較してみました。
Wikipediaで調べたところ
国際宇宙ステーションは
高度278kmから460km
軌道傾斜角51.6度
ハッブル宇宙望遠鏡が
高度559km
国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を運んだり、ハッブル宇宙望遠鏡を運んだのがスペースシャトルなので、スペースシャトルの活動域も同程度でしょうか。
地球観測衛星の
ランドサットは
最後の7号の場合で
高度705km、
軌道は傾斜角95度の
太陽同期軌道で
「事実上ミサイル」の軌道はこれに似ています。
ランドサットは地球の資源を空から探査する科学衛星ということでしたが、全地球を探査できるわけです。
だから当然アメリカ以外の国の領土を探査できるわけで、
アメリカに探査
「される」側の立場
の第三世界の国々は懸念や不満を表明していたそうです。
「事実上ミサイル」
がこの軌道を選んだのが
偶然や
日本上空を避けたためでないとするなら、
立場を変えて、同じ懸念が再燃する可能性があるわけです。
アメリカのHKー9・HEXAGONという人工衛星が
高度163km~233km
とWikipediaに出ています。
HKシリーズはアメリカの偵察ミサイルで、一般的には500km~600kmが通常高度で、必要に応じて(写真撮影のため)160km付近まで降下するのだそうです。日本の写真技術が活躍したとも言われていました。
ランドサットもHKシリーズも極軌道で太陽同期軌道です。
この目的にはこの軌道がいいのだそうです。
番組に登場した専門家は、北朝鮮の「事実上ミサイル」の高度を、スパイ衛星の高度と指摘していましたが、根拠になった値はこの値かと思われます。
低空ほど地表に近いからスパイ行為には適しているわけですが、
上空を目指すほど大出力が必要になるから、技術が未熟なうちはどの国でも低高度に打ち上げるとも言えます。
人工衛星がどうして宇宙空間に浮いていられるかというと、地球の周囲を回転することにより生じる
遠心力
のためです。
宇宙は無重力
という誤解がよくありますが、
それは地球周回軌道にのって円運動している立場に立った場合の話です。
本当は、宇宙空間にも重力はしっかりあって(高度500kmでも地表の0.86倍くらいの重力はある)、その重力とつりあうくらいの「遠心力」が働いたときに、初めて落下しないように飛行できるのです。
この遠心力を得るためには秒速7.9km(=第一宇宙速度。高度500kmでは秒速7.6km)程度のスピードが必要で、
このスピードで地球の周りを回転させる必要があります。
洗濯機大の物体(スペースシャトルだと大型トレーラーくらい)をそんな超高速にするのにいかに莫大なエネルギーが必要か考えると気が遠くなりそうです。
そのエネルギーを少しでも節約するために地球の自転方向に打ち上げるのが普通なのですが、北朝鮮からみて地球の自転方向というと、日本の方向になってしまいます。
なので敵意があろうとなかろうと、どのみち日本上空を通過させることになってしまいます。
こういうことを日本で発言すると非国民扱いされてしまうのでみな黙ってましたが、物理的には東向きに打ち上げるのが正解のはず。
そもそも大勢に逆らって逆回りの人工衛星を打ち上げられたら、宇宙空間ではかえって迷惑。
ところが今回は
東向きを避け、
南に向かって打ち上げられたのです。
政治的意図を考えるなら、
日本の人口集中地帯を避ける配慮をした?
敢えて尖閣諸島上空を通過させて政治的に刺激したかった?
などの見方をできなくもありませんが、
将来的に偵察目的を視野に入れてはじめから極軌道(南極と北極を通過するように、地球を縦方向、つまり南北に回る軌道)を選んだとしても普通の宇宙開発の順序に沿っています。
いずれにしても、
地球自転の力を借りないコースで軌道投入を実現させたとすれば、既に技術的にかなりゆとりがあると考えられます。
そういうことも番組司会者が言っていました。
政治的意図で真実を歪めてまで意地を張り続けるのはもうやめて、
素直に人工衛星であることを認め
むしろ、
人工衛星によるスパイ行為
を警戒するなり抗議するなりする方が
現実的だと思うんですけどね。
報道でも
しばしば
「ミサイルもロケットも同じようなもの」
との発言がポロポロ出ていました。
「事実上の」ミサイル
って国際圧力で言わされているんじゃないですか?