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第2話は、マーシャル諸島共和国 ニャん。

マーシャル諸島共和国は前回北京大会がオリンピック初出場ニャんじゃ。


注目の国「マーシャル諸島共和国」を応援しましょう。


ところでこの国知ってます?

マーシャル諸島共和国を知らなくても
次の言葉は誰でも知ってるニャン。


  ビ ・ キ ・ ニ


水着のビキニを想像した人、

大丈夫ですよ。
水着の方もビキニで行われた水爆実験がネーミングのきっかけですから。

そうです。


水爆実験の行われたビキニ環礁のある国です。

この国の国民はあなたたち日本人と同じ核兵器被ばく体験をもつ国民ですニャ。日本で

ビキニデー

として知られる3月1日(核被害者追悼日=水爆実験の行われた日)は、国民の休日でお休み。

また第一次大戦から第二次大戦までの間、日本が統治していたため日本の文化が現地に多く入っていて、日本語起源の言葉もたくさん使われているそうですぞ。

↓まずは位置の確認から。
ニャンコのうんちく-マーシャル諸島
日本の南東4600kmの太平洋上にある1200ほどの島からなる国です。島といっても大半が環礁(珊瑚礁)ですから日本の島のイメージとは異なります。赤道のすぐ北にありますから一年中夏の

珊瑚礁の国

ですニャ。

 面積は180平方キロメートルで利尻島とほぼ同じくらい。あるいは霞ヶ浦と同じくらい(外務省HP)。1200あまりの島々からなるのに全部あわせても利尻島くらいしかないってことは、とても小さな島ばかりということになります。ただし環状の珊瑚礁に囲まれた礁湖の面積はかなりの大きさになるそうです。これは陸地面積には含まれないが重要な生活の場であることを考えると、実質的にはもっと広いイメージをもってよいのだそうです。
 人口が5.3万人(日本の2400分の1に満たない)なので沖縄県の宮古島市くらい。人口で考えても小国よりも小さいミニ国家です。
 第一次大戦まではドイツ領。第一次大戦から第二次大戦までは日本の委任統治領。第二次大戦後はアメリカを受任国とする国連信託統治領。独立は1986年。


前回北京大会の戦績をみてみるニャン。


この国は

前回北京大会が

記念すべき
オリンピック初参加

ニャのだ
5名の出場(陸上競技2名、競泳2名、テコンドー1名)で金0銀0銅0メダル合計0個。
(詳細はこの記事最後に一覧にします)

最も活躍した選手は競泳女子50m自由形のJulianne Kirchner選手ですかニャ。同じ組の5位隣国ミクロネシア連邦の選手、6位カンボジアの選手(第1話に掲載)に勝利して予選レース4位となっている。

こんなものでしょうか。さしたる活躍はしていません。もちろんそうです。できたばかりの国ですから。

「参加することに意義がある」

を地でゆくような選手団ですね。


いいえ違います。
それを言うなら、


「国を作ったことに意義がある!」


と言うべきなんニャアアア・・・!
作ったんですよ。
みんなでがんばって。
国を。
オリンピックに選手団を派遣できたのは国ができたことの証です。

この地で、

核兵器が炸裂し続けていた当時まだ国はありませんでした。

マーシャル諸島は、島ごとに方言程度の違いがあるマーシャル語を話すマーシャル人(ミクロネシア系)の住む地域でした。
しかし国家はありませんでした。
国家を作るほどの規模の民族集団でもなかったし、とくに国家を作ることもなく近代を迎えたというところでしょうか。文明とは無縁にカヌーで海に繰り出して魚を取ったりヤシの木の恵みを利用して生きていた人たちです。

世界には、
とくに国家を作ることもなく文明化された大民族に吸収された弱小民族は無数にあります。

しかしマーシャル諸島の原住民は切迫した事情に迫られ自分たちの国、自分たちの政府を望みました。
その事情とは

大国に対する生存権の主張

とでも言えばいいでしょうか。


1954年のビキニ環礁で行われた水爆実験はあなたたち日本人にも無縁ではニャいのだ。
現場から160km離れた海(静岡東京間の距離です)で操業していた日本のマグロ漁船第五福竜丸(静岡県焼津港)の船員が被爆して死亡しましたよね。

日本人にとっては広島・長崎につぐ第三の被爆として知られているはず。
しかし被害者はあなたたち日本人だけではありません。マーシャル諸島の人たちがどうなったか考えたことありますかニャ?

現地の人たちはもっと深刻な被害者です。
もっともビキニ環礁の人たちは核実験場になる前に退去させられていました。先祖代々住み慣れてきた島から追い出したのですが、アメリカ人は何を理由にどうやって彼らを説得したのでしょうね。強制移住させられたビキニ島民の帰島はいまだに実現していません。

しかしビキニの水爆は広島原爆の1000倍の威力でした。水爆実験のときにできた穴はグーグルアースで見てもはっきり確認できますよ。
この国の広い範囲が放射能に汚染され、特に避難しなかった離れた島々でもたくさんの被ばく者がでたそうです。最遠で、現場から500km離れた島まで放射線障害が確認されているそうです。
現場から180km離れたロンゲラップ島では、住民が強い衝撃波と爆風に晒された上死の灰を被り、嘔吐、皮膚障害、脱毛などの急性の放射線障害を煩っています。その後米国に救助されていったん避難し、3年後の米軍による安全宣言で帰島します。帰島した住民は異常出産、甲状腺ガン、白血病などの放射線障害に次々と襲われるのですが、米軍は治療も保障もせずに検査だけ行ったとのことじゃニャ。
調査目的で放射性物質を注射された住民がいることまでがマーシャル側の調査で突き止められているんだとか。


日本人が唯一の被爆国民という勘違い

はもうやめるんニャ。


マーシャル諸島には

核実験場が2つ作られました。
 ひとつはエニウェトク環礁、
 もうひとつがビキニ環礁。
そして今ミサイル実験場が1つあります。
 それはクワジェリン環礁にあります。


 1946年から1958年までの間にアメリカは、エニウェトク環礁で44回,ビキニ環礁で23回合計67回核兵器を爆発させました。それらのいくつかは広島長崎の原爆よりもはるかに大きなものです。
 今は、クワジェリン環礁に向かって米国本土からミサイルが発射されます。そしてクワジェリン環礁の米軍基地から迎撃ミサイルを発射して打ち落とすという実験が行われています。マーシャル諸島は

米軍のミサイル実験の標的

なのです。


そうですね。


カヌーで魚取ってる場合じゃないですね。ヤシの実とっている場合じゃないですね。


「ここは私たちの生きる土地。勝手に荒らさないで。放射能ばら撒かないで。」


 権利を主張しなければ何でも大国にされるがまま。小さな島の自然民達は生存のため、民族の尊厳を守るため、世界に訴え、超大国アメリカに抗議するしかありません。

 それで、それまで小さな島でカヌーを操ったりヤシの実とったりして暮らしていた人たちが、遠く離れたアメリカ議会に訴え、国連に訴え、同じ被爆国の日本に密航して反核団体に助けを求めたりと、世界に向かって自己主張を開始したのです。

人間いざとなれば強い

ですね。
 マーシャル諸島共和国は1986年に独立。1991年に国連加盟、2006年にIOC加盟を果たし、2008年北京オリンピックで初出場を果たしたんじゃ。まだまだ国力が弱いとはいえ今は被害補償などアメリカに対する交渉は、マーシャル諸島共和国政府によって国家間の交渉として対等に行える立場になっているそうです。一連の核実験がマーシャル諸島住民を使って意図的に行った人体実験だったのではないかという疑惑を、共和国政府がアメリカ政府に対して追及するまでにはなっているそうです。


 太平洋上には小さな島々からなるミニ国家が他にもいくつかあります。

これらの国々のいくつかは大国に対する生存権の主張に駆り立てられて国家建設に向かった経緯があります。その大きなきっかけが核実験による放射能被ばくです。

 

近代オリンピックは国家の祭典です。ここは古代オリンピックと対照的なところ。
国旗が掲げられ、
国歌が歌われ、
国別チームが試合をし、
国別順位が争われ、
執拗に「国家」意識が煽られます。


だから、国家を切望し、国家を作り上げ、オリンピックの舞台に出場を果たしたこの国を注目するのです。

核実験、ミサイル開発、独立闘争、地球温暖化(平均標高の低いこの国はいま水没の危機にあります)・・・。

現代史を象徴するようなこの国の、ロンドンでの活躍を期待して応援しましょう!



マーシャル諸島共和国について、およびマーシャル諸島共和国のスポーツ事情について
何かご存知の方はコメントください。
記事の間違い訂正も大歓迎ニャン。



[マーシャル諸島共和国選手団の前回北京大会の戦績]


  <陸上競技>

Roman William Cress(男子100m)11秒18   1次予選2組8位敗退  ジャマイカのパウエルと同じ組。この種目は日本の塚原が準決勝まで進出7位(10.16)敗退。金メダルはジャマイカのUsain Bolt選手。世界記録9.69。


Haley Nicole Nemra(女子800m)2分18秒83  予選敗退 予選2組最下位 予選ランキング38位/40人中。 この種目は日本選手の出場なし。 金メダルはケニアのPamela Jelimo選手記録1分54秒87


  <競泳>

ジャレッド・ハイネ(男子100m背泳ぎ)58秒86  予選1組3コース敗退  予選ランキングは43位/45人中。この種目は日本の宮下純一が決勝進出8位(53.99)  金メダルはアメリカのAaron Peirsol選手 世界記録0:52.54


Julianne Kirchner(女子50m自由形)30秒42  予選敗退 予選3組6コース4位  予選通過タイムは25秒07。この種目は日本選手の出場なし。  金メダルはドイツのBritta Steffen選手 オリンピック記録24.06


  <テコンドー>

Anju Jason(男子80kg級)  1回戦敗退  対戦相手はイギリスのAaron Cook (GBR) 7-0 。この種目は日本選手の出場なし。金メダルはアイルランドのHadi Saei選手。



参考にした資料:
中原聖乃・竹峰誠一郎著「マーシャル諸島ハンドブック」(凱風社)
外務省ホームページ
北京オリンピック公式ホームページ