おでん 323
夏大根が終わり、秋大根が出始めたのでさっそく
おでんをしてみた。夏大根は、おろしには最適だが、
おでんには、筋が多くて食べにくい。それに比し、秋
大根は、煮ていくと、ちょうどあめ色になり、かくてお
でん最高の主役にあいなる。脇役はおしてしるべし
豆腐である。
おでんには日本酒。これほど似合うものはない。
ちょうど、漫才のおぼん、こぼんのようなものである。
どちらが、おぼん、こちらがこぼん、かしれないが。
日本酒に酔っているのでへなへなである。矢でも
鉄砲でももってこい、状態である。持ってきたら、す
いません、とあやまるつもりであるが。
鈴虫だろうか、のんきそうに鳴いている。本人は、
必死に鳴いているつもりかもしれないが。聞いてい
る僕にとっては、なんだかのんきそうに鳴いているな、
てな感じがするんだけれど、そう感じる僕のほうがへ
んてこりんなのだろうか。あまり気にしないことにしよ
う。
なべて世は太平である。いま死なんとしている人が
いるが、これもまた世の移ろいである。死者は思い出
となり、脳漿の中で生を得る。ああ!弁証法なるかな。