野良猫 839
短気な犬を見てゐる犬や夕立来 中村 草田男
寒々とした一日だった。お客さんは一人も来ず、年末だからこ
んなもんでしょう。住宅を探している人も、気持ちはそぞろで、す
でに正月気分でしょうね。
ぼくにしたら、正月って云っても、なんの代わり映えもしません
が、むしろ、迷惑しごくなことなのです。外へでてもお店は開いて
いないし、仕事をしていれば変なやつに思われそうだし、どちら
かといえば嫌な行事ですね。
どこかへ行こうか、と思えど、そのどこかを選別するのが煩わ
しいし、いざ出かけようとしても、つい面どくくさくなって、出かけ
るのを躊躇してしまいがちになるんです。いけないとは思うんで
すが、性ですかね。
小田実のように、何でも見てやろうという、好奇心が萎えてい
るのですかね。それとも、もともとそんなものは、ありゃしないの
ですかね。
あああ、明日で、いよいよ仕事納めだ。ながい休日に突入して
しまう。憂鬱だなあ。憂愁ともいうな。メランコリーなんていう外国
の言葉もあった。
遊びをせんとや生まれけん。遊びたいな。何をして遊ぼうか。凧
揚げは寒いな。独楽は、どこで売っているのやら。ええい、いっそ
猫と炬燵でまるくなるか。