野良猫 816
冬ごもり立てば秩父の山見ゆる 長井 迷羊
ぼくは、冤罪事件や迷宮入り事件などへの関心が強く、さまざま
な事件に関する本を興味をもって読んでいる。とりわけ興味深い
のは、狭山事件である。なんとも面妖な事件といわざるを得ない。
狭山事件に関する膨大な書物は、たのもろもろの事件を凌駕し
ているにちがいない。
今、殿岡駿星という方の書いた狭山事件の真犯人という本を読
んでいるが、なぞの多い事件であるが、なるほど読み方を変えれ
ば合理的な説明が可能なようだが、初期捜査を間違うと、なにが
なんだかわからなくなり、役人の習性として自らの過ちを認めよう
としない傾向があるから、それを覆そうとしても困難を伴う。
それにしても他人事ではない。いつ冤罪事件にまきこまれるかも
知れない。権力がその気になれば、ひとりの国民を葬り去ることな
ど、たやすいことだろう。そのとき手を貸すのがジャーナリズムであ
る。マスコミとも呼ぶが、彼らがあることないこと書き立てれば、国
民はそれを信用するであろう。カスコミの誤報により幾多の国民の
自由が奪われ、生命の存否の問題に追い込まれていったか。報道
は凶器になる。そのことを熟知して報道に耳をかたむけねばならぬ。
また、報道を疑うことも必要である。歴史を紐解くまでもなく、国民に
事実を知らされなかったことは多い。