野良猫 781
わがいのち 炎ら立つ夜の木枯の音 富澤 赤黄男
今日、お昼に何を食べたかな。ううう、ええと、そうそうさざなみ
のけっねうどんと、おむすびだった。
このごろはたびたび、お昼に何を食べたか思い出せないことが
ある。くわえて、他人と話をしていて人名がどうしても思い出せな
いことがあり、えーと、それそれ、なんていったかな、ううん出てこ
ないや、なんてことがしばしばあるのである。もともと頭のほうは、
フツーよりやや上、ないしやや下かもしれないが、学校の成績た
るや、尻から数えたほうが早いので、早く言えば悪いのだ。
頭がわるいからといって、生きるにさしたる不都合にはならなか
ったように思う。仕事なんざぁ運と大いに関係がある。
例えば、ぼくがかかわる不動産業なんていうのは、ずいぶんや
くざな仕事、といううのが世間の評価だったが、戦後といっても京
都の人は応仁の乱をいうらしいが、ぼくの場合は、大東亜戦争の
謂いであるが、しばらく経過して高度成長経済に突入してからは、
右肩上がりに地価が上がったので、ほとんどの不動産屋はぼろ
もうけをした。これは運といわずしてなんといえばいいのか。しか
し金は怖い。儲けはしたが、お金に狂い家庭が崩壊したり、賭け
事にのめりこんで謝金地獄になった人もいる。本人が悪いのだと
いえばそれまでだが、持ちなれない大金を手に入れ平静でいら
れる人は少ないようだ。