豚のしっぽ 652
作文に「父を還せ」と綴りたる鮮人の子は馬鈴薯が好き
寺山 修司
むかし話の特集という面白い月刊誌があった。寺山修司を知ったの
は、その雑誌だった。寺山以外にも、野坂昭如、竹中労、横尾忠則、
和田誠、小田実、深沢七郎、吉行淳之介、植草甚一、阿佐田哲也な
ど、一癖も二癖もある多才な面々がくりひろげる話の特集ワールドに
知的好奇心をしげきされたものである。
また面白半分という月刊誌もあった。編集長が何ヶ月ごとに代わる
のであるが、野坂昭如が編集長の時、レーの永井荷風作と巷間いわ
れている、四畳半襖の下張りを雑誌にのせ、それが警察のしるところ
になりワイセツ罪で裁判となって名を馳せた。この雑誌は短命であっ
たが面白い雑誌であった。
噂の真相という雑誌も、実におもしろくためになる雑誌だった。いわ
ゆろスキャンダル誌であるが、徹底的に反体制で、他の週刊誌のよ
うに弱者いじめはしない。いじめるのは権力者や権威者ばかりである。
この雑誌を憎悪した有名人はたくさんいたであろう。左右を問わず、き
られた。イチページめの有名人の男女スキャンダルがリアルなイラス
トで描かれていて、よく出てくる有名作家の女優あさりにあきれるばか
りだった。二名ほどの流行作家は、この噂の真相というスキャンダル誌
を心より憎んだであろう。そして廃刊の折は、愛人をはべらして祝杯を
あげたこと間違いあるまい。ねW先生、I先生!