豚のしっぽ 637
わがまつげ霧にまばたき海燕 橋本 多佳子
たしかに、昔に比べて娯楽が増えました。いや正確に言えば、
現在進行形で増えています。生きると言うことは、死ぬまでの
暇つぶしである、という穿った意見もあるようですが、一つの真
理をついているかもしれません。梁塵秘抄に、遊びをせんとや
生まれけん、とあるように仕事ばかりではつまらない一生です。
なにか心より楽しい遊びがしたいと思っていますが、たくさんあ
る遊びの中で、これをやりたいという遊びがみつかりません。少
々のお金が入用でもかもいませんが、そんな遊びがないのです。
釣りも以前はよく行きました。魚がつれなくても、潮の香りをか
ぎ、潮騒をきいているだけで心が洗われます。家でつくったおむ
すびやお茶だけで美味でした。でも釣りに行かなくなって久しくな
ります。いつも一緒に行っていた人が経済的に困窮して行けなく
なったからです。一人で行ってもつまらない。マラソン大会に出て
いる人が知人にいますが、信じられません。テレビのニュースで
放映されていることがありますが、なにが楽しいのか理解できま
せん。
古には、あそびは高貴な選ばれた人々の行為だったようです。
下々の人たちは食べるのに精一杯であそぶ余裕がなかったよう
です。あそべるのは働かなくても暮らしていける一部の人たちの
特権だったようです。文化は、働かなくてもいい人たちがはぐくん
だみたいですね。それが長い時間の経過の中で、大衆化されたよ
うでおますなぁ~