豚のしっぽ 598
神田川流れ流れていまはもうカルチェラタンを
恋うことも無き 道浦 母都子
今日からはもう長袖を着ます。少々寒いでおますさかいやむを
えません。三島由紀夫さんは、冬でも半そでを着ていて、いつも
鳥肌を立てていたらしいですが、ぼくは、幸いに誇るべき筋肉が
ありませんから、そんな馬鹿なことはいたしません。寒いときは、
厚着をするだけです。厚着と言っても長袖を着るだけですけどね。
なんでおますな、といいながら何を言おうか考えておりますけど、
そうそう、英国映画協会で十年ごとに審査される映画に、ナンバー
ワンに小津安二郎の東京物語が選ばれました。ぼくのブログ友達
のオズヤスさんのブログで知りました。ぼくは本来、ノーベル賞とか、
何とか賞などというものは無関心なんですけど、どれほど英国映画
協会がいかほどの権威があるかはわかりませんけど、素直にうれ
しい心持です。実は、正直に告白いたしますが、学生の頃、ぼくは
小津映画は嫌いでした。退屈な映画だ、なんだ日常の生活をその
まま描いているだけの映画で、なんのおもしろさもない、と断定いた
していたのです。そのころ竹中労の美空ひばり論という本を読みまし
た。偏見でみてはダメだ。いいものはいいのだから、素直に評価す
るべきだ、と書かれていたと思います。そのころ生意気盛りのぼくは、
美空ひばりも嫌っていたのです。竹中労のロジックに同意して、それ
まで嫌っていたものを、無の境地にして評価しなおしてみますと、美
空ひばりが素晴しい歌手だと気づきました。そして小津監督の作品
を観なおしてみましたが、今までと全く違う作品と思え、自然に涙が
あふれてきました。それ以来、小津安二郎の大ファンになりました。