鞠と猫 406
寒くもなく、暑くもまたなく、なんだかあいまいな天候であるが、
こんな状態が一年といわず、生涯の気候だとすると考えただけで
憂鬱に成る。やはり四季があることはありがたいことである。
月並みだが、四季折々の食べ物、草花、行事、服装などに時間
の経過を感じ、しかも、あたかも螺子のように循環しながら前進す
るのが、なんともえもいわれぬ妙趣を醸し出しているではないか。
人類は地球の各地で暮らしているが、暑いところ、冬が長いとこ
ろ、水がわずかなところ、山ばかりのところ、争いが絶えない所、日
本のように資源が少ないところ、と住んでる条件が異なるわけであ
るが、日本はわりといい条件に位置するのではあるまいか。少なく
とも最悪の場所ではあるまい。
だが住まいを自由に変更するのは、なかなか困難で、ぼくもたまた
ま現在の住所で生まれただけで、決して自ら選択したものではない。
ぼくから見て困難な場所と言っても、そこで生まれ暮らしている人は、
そこで生活をし家族を養い、喜怒哀楽を感じ、恋をしたり、喧嘩もする
し、病気になったりして、ぼくらと同じように暮らして生きているのだか
ら、少し貧しそうでも、決して不幸ではあるまい。経済の多寡は、周辺
が一様だとさほどの影響はない。むしろ、一見豊かな文明を呈しても、
貧富の格差が大きい社会はフラストレーションを生む。
無知の知、と足るを知る心が肝要であるまいか。