はだかの王様 17
人間は勝手なものだ。否、その物言いは訂正させて
いただく。勝手なのはぼくである。集団で、つまり家族で
の生活が煩わしくなり、一人ぽっちになりたくなったり、
逆に、人恋しくなり友を訪ねて行ったりする所業は、はて
何故なるか。
こういうことは人の常なるありさまなるかな。わずかな
る資産と、すべての係累をなげすてて出家でもして、欲も
得もない、猫のように静かに、ただ死を待つだけの状態
に憧れを抱くのは、たんなるぼくのセンチメンタリズムな
のであろうか。
こういう気分につつまれるのは、心の疲労だと思うが、
一晩寝れば回復するのはわかっている。
生は苦である。このテーゼが仏教の一歩である。それが
少なくない天才たちが膨大な宇宙観を仏典に残し、それは
とどまることを知らず、現在もなお進行形で書きすすめられ
ている。