裸の王様 11
時々、いらいらして、ぼく自身の感情がコントロール
できなくなって、家族に当り散らすことがある。そのあと
得も言われぬ自己嫌悪に陥ってしまうことがある。自分
自身さえ思うに任せぬのに、ましてや他人がーである。
ぼくという忌まわしい存在があり、かたや、ぼくの脳
のなかに、ぼくを観察する視座をもつ、もう一人のぼくが
いる。いつも冷ややかにぼくを眺め冷笑を送ってくる。お
いおい、そんなことじゃだめじゃないか、なんて言ってくる。
ぼくは道徳的な人間ではない。人が見ていなければ悪
いことをしても、そんなに痛痒を感じない類のそれだ。だが
現実には悪いことをしないのは、する必要がないのと、め
んどうくさい、と言う理由である。それに比類して、犯罪者
のなかには、ぼくよりか、はるかに道徳的な人々がいるよ
うに思う。そのような人々は運が悪かったのと、道徳観を
ふみにじっても行わなければならない理由があったので
あろう。この世には、悪人と善人の二種類の人間がいる
のではない。すべての人間の心の中には、善と悪が宿っ
ていると思う。偉そうなこと言うて、すんません。