独り言   10月12日 | はなのブログ

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          燃える麒麟   12
  いやはや、われながらお恥ずかしい話であるが、ぼ
くじしんの欲望のなかで、食欲の占める位置が次第に
おおきくなっていることは否めないことである。欲望じた
いのエネルギーはすぼんでいっているのも事実である。
 お金も必要なだけあればいいし、名誉なんて興味は
ない。ただおいしいものは食べたい。しかし、ぼくのおい
しいものとは、気の利いたレストランのフランス料理とか、
山海珍味たる中華料理などではない、なにしろスシロー
のテーブルにすわることもできぬ人間だから、そんな高
級店に入る勇気なんかはない。
  ぼくが食べてみたいお店は、そのへんの道端にある
なんでもないラーメン屋や、大衆食堂、そしてうどん屋で
ある。そんなお店がたくさんあるが、ぼくの口に合うお店
はわずかなのだ。そんなお店を見つけたときは、恋人に
出会ったような喜びにつつまれる。こういった、小市民的
な幸福感を感じるとき、ぼくはロシアの外套の主人公を
思い浮かべる。ぼくはアカーキィ・アカーキェウィッチであ
る。