独り言    7月29日 | はなのブログ

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         ブルース   9

  最初の一行が書ければなんとかなる。しかし、その一行

がどうしても書けない時は地獄である。脳が全く働こうとしな

い。だだをこねた子供のような塩梅である。

  プロの連中はこんな時にはどう対処するのであろうか。

だ諦めて酒でも喰らうのであろうか。それともなんとか書

く秘訣があるのだろうか。

  ぼくみたいに雑文でさえあえいでいるのに、名にし負う文

筆家なれば、あだやおろそかに腑抜けた空虚な文を認める

わけにはいかぬであろう。常に至高なる傑作を求められて

いるわけだから、その義務感たるや恐るべし。のんびりジャ

ズを聴きながら書ければよし、書けなくてもなんの不都合は

ない、これを幸福と言わずして何が幸福であろうや。ようす

るに、ものは考えようである。不幸と思えば不幸。幸福と思

えばそれ。ドストフスキーがかく申した。不幸な人間は、自分

が幸であることを見つけられぬ人間である。これに尽きる。

  幸福感というものは、さながらうたかたのごとし。曖昧模

としたもんで、相対的なものだから、自分を客観的に眺め

る視点にいかようにも感じられる。これが、空腹の場合、い

に満腹と思っても、空腹は空腹である。空腹感を失くすた

は、吉野家で牛丼を食わねばならぬ。これこそが幸福感

と空腹感の著しい相異である。文句はいわせぬ。