驟雨と毬 21
ぼくが今まで生きてきた中で、いい意味でのショック
を受けた数々のなかで、一番と言えなくても、三本の
指にはいるのがビートルズとの出会いだった。
今でも鮮明に記憶している。あれはぼくが中学3年
の時だった。学校では昼食がなかったので家に食べ
に帰っていた。その日もテレビを観ながらお昼を食べ
て、テレビでフジのクレイジーキャッツのおとなの漫画
か、あるいはNHKの国際ニュースを観終わって学校
にいくのだが、その日はニュースを観てたら、いきなり
今イギリスで若者たちに熱狂的に人気のある音楽グル
ープとして紹介された。その時演奏されていたのは、記
憶に間違いがなければプリーズプリーズミイだった。そ
時は何のこともなかったのだが、時間を経るにしたが
ってじわじわとぼくを悩ますことになってしまった。と言う
のは、このビートルズなる異為る存在をどのようにうけ
とめるか、否定すべきか、それとも肯定すべきか悩ん
だのである。そのころぼくは奇妙な習慣があって、布団
のなかに潜ってトランジスタラジオをよく聴いていたので
ある。ラジオではビートルズがいっも流れていた。ある日
ぼくは決めた。ビートルズを肯定することを。