快楽と独楽 2
ぼくが一番心が休まるところは図書館と海岸で
す。まず図書館。ぼくは七か所の図書カードをも
っていて一週間に一度はどこかの図書館に行き
本をかります。
図書館を利用するようになったのはここ20年
ほどで以前は当然森住書店で、仕事の帰りに
毎日寄って本を物色しておりました。いつのこ
ろでしたか、はたと家のなかが本に占領されて
いることにきずき、基本的には図書館を利用す
ることに変更いたしました。借りた本本のなか
から読んでどうしても手元におきたい本だけを
購入することにしました。これは一石二鳥です
こぶる目的合理なしろもので、お金がたまるは、
場所ふさぎにならぬはで、いみじくも妙なるわざ
である。
ぼくの友人は夜ごとギャバクラなる狐狸のごと
き女性が屯する、訝しき界隈に心を休めに大金
を投入しているが、ぼくには信じられないことで
ある。本にかこまれたほうがどれほど気が休ま
るか。
一方海もすきなんである。打ち寄せる波と潮騒
を聴いているとまったくあきない。海の香りもいい。
夜の女が放つ人工的な香水の匂いよりはるかに
優。どうしてこんなに海が心地よいのか自問した
ことがあるが、ぼくの仮説はこうだ。これはきっと
お母さんの腹のなかで羊水にひたっていたころの
記憶を呼び起こしているのだろう。だからこんなに
も心地いいのだ、と。