白河夜船 28
人間にまつわることは全て無関心ではいられな
い。例えば、歴史をひもとくまでもなく、人間がおこ
した同類への虐殺ということが、しばしば厳然とし
て行われている。ヒットラーのユダヤ人に対する
大虐殺。スターリンの国民への粛清。毛沢東の国
民への粛清。ポルポトの国民への粛清。アメリカ
の先住民への大虐殺。トルーマンの広島・長崎へ
の原爆投下による大虐殺。日本の南京大虐殺。
まだまだ沢山の人間の同類への虐殺は枚挙が
ないほどである。これは一体どういうことであろ
うか。このことの歴史的事実を単に命令を下した
個人あるいは組織の責任にきすべきではない。
こういうことをする可能性はわれらすべての人間
のなかに欲求としてあるのではないのか。それ
に気づいていないだけなのではないのか。
世界宗教は全て殺人禁止の戒律がある、特に
仏教は一等はじめの戒としてこれがある。事ほ
どさように大宗教が殺人を諌めるのは、それほ
ど人類が殺人を好む傾向があるということを物
語ることである。われわれ人間ひとりひとりにそ
のような欲望の自覚を促す必要がある。
まずうちなる悪をしるべし。それからである。