独り言  10月8日 | はなのブログ

はなのブログ

ブログの説明を入力します。

               白河夜船   8

       本日もはたせるかな雨である。突然で恐縮であ

      るが、たしか雨の物語という歌があったような気

      がする。男だか女だか、あるいは大人だか子供

      だかわからない、はなはだ面妖な奴が歌ってい

      た記憶が脳漿の片隅にひっかかっているのだが、

      はたしてあれは幻だったのであろうか。

       恥ずかしながらぼくにもささやかであるが、雨の

      物語がある。

       いまとなってはずいぶん昔の話だが、その日渋

      谷にぼくはいた。ハチ公のシッポで友人三人と待

      ち合わせていたのだ。喫茶店田園で読書会をす

      るためだった。やがて全員そろったので店へ行き

      会が始まった。本はたしかサルトルの実存主義と

      はなにか、だと記憶している。その日の担当はぼ

      くだったので、実存は本質に先立つ、の概要をと

      っとっと自信なさげに話したのは遠いむかしのこ

      ことである。2時間ばかりで会は終わり帰途につ

      いた。あいにくその時間は雨になっていたのだ。

       ぼくはちょうど傘を持っていたので、バス停に並

      んでいると、ぼくのうしろに小5ぐらいの女の子が

      きたので、どうぞ、といって傘をさしだしたのだ。

      すると少女はありがとうとすなおに言った。つづ

      けてぼくは、学校はどこと聞くと、彼女は誰でも

      知っているさる有名校の名をあげた。そのとた

      んぼくはあがってしまって、エスカレーターだね、

      と暴言をはいてしまったのである。気まずい空

      気がながれた。そこへバスが来てすくわれたが、

      これこそがぼくの雨の物語である。もんくあるか。