諤諤たる愚者の記 18
おだまきの花がさくのはいつのことだろう。梅雨が
が明ければすぐ咲くに違いないが、ぼくにはまちど
うしいことである。
季節をいろどるさまざまな行事や、あるいは果物
や衣服の模様替えは楽しいものだ。通勤の電車で
毎日あう名も知らぬ娘さんに、秘かに恋心をいだい
て、遠くからこっそりと眺めているような切ない心に
おそわれたのは、もうずいぶん昔のことだった。あ
の人はどうしているのであろうか。季節はめぐり人
は老いていく、それが自然の摂理とわかっている
が、わかっていても割り切れないものはある。もう
一度あのころへ、と言う心はだれしもいだくのでは
あるが、さて、かえったところではたしてどうなるこ
とやら。悔いをのこさぬように今日を大切に生きな
けばなるまい。うじうじするより恥ずかしいけど、
あのひとにおもいをうちあけよう、か。
ぼくの手帳から
45、蝸牛考(柳田国男)言葉は勢力のある中心か
らかたつむりのようにうずまき状にひろがり遠い
ところにのこる。