さくら書房の月刊誌コーナで、雑誌をとろうと手をのばした時、ちょうど横から別の手がのびてきて、手と手がふれた。とっさに手をひき雅夫は、
「しつれい」
といつた。
「私こそ」
と、女の声。
顔をみると和美ではないか。
三年ほどまえ、雅夫は和美と付き合っていた。きっかけは、共通の知人の紹介だった。
何度か食事をし、ドライブしたり、映画を観たりして、次第に雅夫は結婚をいしきするようになつた。
和美もデートを楽しんでいるようだった。
ある日、喫茶店でコーヒーを飲んでいる時、
「いっしょに暮さないか」
と、雅夫がいった。
和美は少し驚いたようだが、
「----」
返事はなかった。
あれから三年すぎてしまった。
そのご、知りあった女性と雅夫は結婚し、子供がひとりいる。
目の前の和美の薬指には指輪があった。