昔むかし、あるところに蛸のおじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日いつものように、おじいさんはワカメを刈に、おばあさんは洗濯に行きました。
おばあさんが洗濯をしていると明石のほうから大きな桃がどんぶらこっこどんぶらこっこと、ながれてきました。おばあさんはその桃を拾い上げ、いすずのトラックに乗せ家にはこびました。
夕方になりワカメを頭にのせておじいさんは家に帰ると、家の様子がへんなのです。
入口にたくさんの魚たちが群がっているのです。鯛・平目・鮪・鯵・鯖・鰆・鯉・鰯・目高・金魚・海豚・鯔・鯨・鯱・鮭・鰡・鰹・石鯛・鱒・これ以上思い出せないのでこのぐらいにしときますが、とにかくすごい有様です。
蛸のおじいさんはこれを見て大喜び。
家のよこに止めてあるいすずのトラックの荷台に、これらの魚に放り込み、上板のビッグに売りにいきました。
それから何日か経ちましたが、蛸のおじいさんは家に帰ってきません。
今まで、無断で外泊するなど絶えてなかったので、犬のおまわりさんにも相談したけど、埒があきません。おじいさんがいないと生活がくるしくなります。思案の結果拾った桃を売ることにしました。
いすずのトラックがなくなったので、リヤカーで運びました。こんなに大きな桃を買うてくれるのは、あの店です。
着いたところは、上板ビッグ店。店長と交渉し、商談成立。
お金も入ったことだし買い物をしようと、鮮魚コーナーを覗きました。隅のほうをよく見ると、そこには鯵の開きの横に見覚えのある干蛸がならんでいました。