図1.EX800STとUE900s ※左側がEX800ST
【使用環境】
NW-A16に直挿し。特に生活音の聴こえない環境で使用。
【デザイン】
一世代前のEXシリーズで見られた形状です。D型ドライバーを耳に対して垂直に配置する珍しい方式を採用しています。その御かげで、イヤホンを装着した状態での見た目が良くありません。
コードの耳に掛ける部分が他社のものより太めです。SHURE掛け向けでも珍しい太さで、針金が入っていることが露骨に分かるものやコードが細いものより見た目は良いと思います。
【音質】
周波数特性的なバランスは、やや低音寄りです。音量を10段階で表現すると、重低音と低音がそれぞれ7で、中~超高音がぞれぞれ5という感じです。しかし、中高音も低音に呑まれることなく聴こえます。解像度の高い低音と伸びの良い高音が特徴的なので、弱ドンシャリのような印象もあります。
解像度は、やや高めです。ギリギリ聴き疲れしない程度の解像度を持っています。特に、低音の解像度が高い点が魅力的です。ただ、その低音に呑まれているのか、情報量はあまり多くありません。
音の分離や定位は、良好です。音を1つ1つ追うことができます。
音場の広さは、並レベルです。ただ、奥行きの表現は割りとしっかりしています。
【フィット感】
あまり良くありません。耳に掛ける部分が太めで、本体自体がサイズの割に軽いので、酷くはありません。しかし、耳に掛ける部分の可変性が低く、固定しにくいです。また、基本的にハウジングは耳に触れず、イヤーピースで固定する形なので、装着した状態ではあまり動かない方が良いですね。
【タッチノイズ】
少なめです。SHURE掛け向けのイヤホンなので、少なくて当然です。しかし、コードの耳に掛ける部分が硬めなので、耳の部分で衝撃をあまり吸収してくれません。
針金が入っているものに比べ、このイヤホンは眼鏡を掛けていても使いやすいです。針金よりも形を作りにくいものの、イヤーハンガーの硬さは針金入りのものよりも柔らかいためです。
【外音遮断性】
低いです。開放型ほどではないものの、カナル型としては最低レベルだと思います。
【音漏れ防止】
漏れやすいです。
【携帯性】
形状的に持ち運びにくく、携帯性はイヤホンとしては低いと思います。個人的には、付属のケースは、このイヤホンを持ち運ぶには小さすぎます。
【総評】
非常に良いイヤホンだと思います。室内で使用する場合は、唯一の欠点であるイヤーハンガー周り以外に気になる点がありません。そして、室内なので、イヤーハンガー周りが気になる機会は多くないでしょう。つまり、長所ばかりが目につきます。
このイヤホンはモニター系とされていますが、どちらかというとモニター系であって、リスニングにも向いていると思います。スタジオのラージモニタースピーカーの音を再現したモデルなだけあって、低音の量が多めなのに非常に自然な音に聴こえます。ゆったり、ぼーっと音楽鑑賞する際に使いたいイヤホンです。
実売価格2万円程度と、ちょっと高めです。しかし、コストパフォーマンスは良好だと思います。現時点で個人的に最もオススメなイヤホンです。
【備考】 ※比較機、エージング具合など
・比較に用いたイヤホン…HP-CN40A、UE900s
・当ブログでレビューした他のものよりもエージングが進んだ状態でレビュー。ただ、購入直後から今までで音の変化は殆ど無い。
・初期不良以外は保証が効かない商品