ちょっと手強いです。
2017 0323 ヨコハマ 晴れ
ここ1ヶ月、連続の作業でしたが、今日からは中でも手強い相手が控えています。
写真は川崎市のMさんご依頼のTOKAI製ES-196 と言うセミアコです。
新品状態の個体ですが、Mさんは購入後、イメージしていた335サウンドでは無いことに気づかれて、t.m.p にメールで問い合わせを下さいました。
メールでは335のコピーでありながら、335のニュアンスが出ていないとのお話でしたから、原因として考えられる幾つかの要素は、ペグロケーションがNG、ネック仕込みに問題がある、センターブロック材がマホでは無い、ネック本体がメイプルネック、などが主な要因であろうと想像しました。
到着した楽器はまさにペグロケーション、ネック仕込み角に問題があり、センターブロックがメイプル材でした。
やはりね・・でもネックがマホであったので作業する者としては助かりました。
ペグロケーション変更、指板上面角変更の2点は通常よくやっている作業ですが、センターのブロック材は変更出来ませんし、ネック材も変更しようが無いですからね。
今回のご依頼は、もしネック材がマホでなかったらお断りしていたかもしれません。
たぶん後依頼人のMさんはカールトンなどの典型的な335サウンドをイメージされているでしょうからね。その場合、最低限ネック材がマホであることがマストなのです。そしてセンターブロック材もマホの個体を本来選んでいただきたいですね。
メイプルの塊がセンターを貫いていますと、本来の335よりもクリーントーンでハイ上がりのサウンドに成ってしまうからです。
この現状仕様でマホのトーンを得るのはかなり無理がありますので、こうした場合はピックアップ・キャビティの中のメイプル材を削り取って、マホガニー材を埋め木して、少しでもマホ材の響きを付加させなければいけません。
さらにネックの仕込み角が0.5度オーバーしてますので、メイプル材のクリーントーン寄りなサウンドに加え、音の定位が高めですから、新品フレットではありますが一旦抜いてしまい、指板の上面角度を削り落として修正してのリフレットを行います。
結果、主な作業としては、ペグロケーション変更、WBHナットに変更、指板角度修正&リフレット+CFフレット加工、ピックアップ・キャビティ埋め木加工、ブリッジ位置修正、ピックアップ+アッセンブリーを t.m.p 仕様に変更、などです。
これらの作業で現状よりもずっと厚みのある335サウンドに変更させます。
結構大掛かりな作業と言えますが、今回もこの作業が行えるのは t.m.p より他に無い、とのご依頼ですから、出来る限りMさんの要望するサウンドに作り変えていきます。
Mさん、少々お時間をいただく事になりますが、お楽しみにお待ちくださいませ。