Kさんの65'sムスタング 作業プラン
2016 1008
ヨコハマ 小雨。
今日は夕方から六本木の6キューブカフェに向かいますので作業時間は短めになります。
本日は写真の65’s ムスタングの作業プランを練ることからがスタート。
まず材は当たりですね〜ネックのメイプルもボディ材もいい個体に当たってます。
問題はこのネックはリフレットがされているのですが、指板の上面が傾斜して削られた上にリフレットされています。
たぶんリフレットの際の指板修正時にペグを取り付けたまま指板削りを行ったんでしょうね。ペグが取り付けたままですと、ネックは作業台に水平に置かれず傾いたまま置かれてますので片方に傾斜して指板が削られやすいからです。
こうした場合はちゃんとペグは外してネック自体を水平にしてから指板の修正を行うべきです。ともかくこのネックの指板は1弦側に傾斜して指板が削られており、非常にやっかな状態です。
こうした場合は少しでも水平度を保つために6弦側から指板の修正を行い、指板の中心部分を元の指板Rである180Rから220R程度まで落として左右のバランスを得ていきます。そして220Rの状態でフレットを打ち込み、フレットの上面だけを250Rで仕上げていけば、弦高を下げ気味でもチョーキング時の音詰まりも起しにくくなります。写真はそのプランに従って指板上面の修正を終えた時点でのショットです。
またムスタングやジャズマスもそうですが、ネックの仕込みにスペーサーを咬ましてネックに角度を与えてブリッジ高調整を行う場合が多いので、ネックとボディの接合面ではフル接合の場合の30%にも満たない場合がままあります。早い話ジョイント部分が隙間だらけなんです。
また仕込み角度を与えていますから弦の張りが強めになるためにベンドはしずらくなります。安易に角度設定は行うべきではないです。
そして今回はショートスケールの楽器ですから少しでもサスティーンやダイナミクスを得たいのでフローティングはさせずに、一旦埋め木してネックとボディの接合面での密着精度を高めてあげます。
こうして前もってプラン立ててから作業は行うべきです。
そしてこの個体もリフレット後にニアCF加工で仕上げていきます。
この楽器の場合の算出値は、ゼロフレットの円弧Rは1072.286ミリ、12フレットでの円弧Rは1376.286ミリです。
Kさん、上記の状態のために指板修正にかなり手間暇が掛かり、工賃が¥5.000程UPする見込みです。ご了承くださいませ。