JB系規格ベースへのCF設定
2016 1003
また大きな台風が発生してます。
以前は作業で塗装を頻繁に行っていましたから天候に大きく作業進行が影響していましたが、今ではその心配も少なくなり、更に屋外での塗装で何リットルものラッカーやシンナーの吹き返しを浴びることがなくなりましたから体調が良くなりましたね。
今日はベーシスト Kさんご依頼のFJ製のジャガーベース(基本的にはJB設定モデル)のニアCF加工とWBHナットへの交換、仕込み設定変更の作業を行っていました。
このモデルは限定生産品の様子ですが、基本的にはジャズベース規格ですので、算出値は 0フレットでのCF値が887,994ミリ、そして12フレットでは1319,994ミリです。
以上、ネックの仕込み部にも手を加えて今回も無事に作業は終了。
ちなみに今回の仕込み部分は通常のタイト設定で、フローティング設定ではありません。
*フローティング設定とは:
フェンダー80’sの3点止めネックのベースの鳴りを好まれるプレイヤーさんは結構多いのですが、なんせアジャスタブルの3点止め方式はネックとボディの接面積が少なく、80’s製造品は塗装も分厚い為にネックとボディの仕込み部での密着度は低く隙間だらけなんです。
その為にネックがすぐにズレ易いので4点止めに変更して欲しいと昔から要望があるのですが、そこでネックとボディの仕込み部を精度を上げて密着させ4点止めに変更すると、元の3点止めの楽器特有のコンプレッションサウンドが出なくなっちゃうのです。これはネックの仕込み部とボディの仕込み部をがっちり密着させることで、がっしりした鳴りに変化してしまう為です。
通常、JB/PB系のネックとボディが接する面積は約90cm2ですが、3点止めの楽器はその半分も密着していない為に「ブーーン」とは響かず「ブンッ」とすぐに音が減衰する傾向になります。
それが、ロングトーンの楽器の場合は音の長さを音符に合わせて短くしたい場合、ミュートしたり弾く強さをコントロールしないといけなくなりますが、80’s/3点止めのベースの場合にはそもそも「ズドーン」とは鳴らないので音の強弱や長さをコントロールし易いのです。
しかもそれがスラップ時のコンプレッション掛かった独特の跳ねる鳴りにもなっている為に、あの鳴り方が好き!って人もかなり多いのです。
その独特な鳴りを再現するにはネックの底面とL字側面の全てをしっかり密着させてはダメなんです。
かと言って、元の3点止めの様にネックがすぐに首を振ってしまうのは問題ですからその双方を解消する為には密着させるのはネックのL字側面部分(ネックの低音弦側と端末の断面のL字部分/底の平面部分を除く)だけにして、あえて底面を名刺1枚挟める程度僅かに隙間を与えたフロート設定の4点止めにしてやると、ドーンと言うがっしりした鳴りにはならず、かと言ってネックがすぐに首を振っちゃう、と言うトラブルも防げるのです。
勿論、どの程度の強さでネックとボディを密着させるかでも音は変化します。
このライトな鳴り方はオールディーズ系やリバプールサウンドを好む方にも適しています。
音が重けりゃいいってわけじゃないですから音の重さ感は重要なエレメントです。
また、フローティング設定の場合では4本のネックセットスクリューを太いものに変更してボディの4つの縦穴にスクリューをねじ込む様にしてセットします。
*(通常ではネックセットスクリューはボディの縦穴径が太い為にスカスカの状態)それをボディにもスクリューが、ねじ込まれた状態でセットしますとネックの底面に少し隙間を与えてもネックがガタ付くことは防げますしダイナミクスは増加します。
ちなみに、L字断面さえ密着しているだけで接面積の30%を確保出来きます。
ネックとボディの仕込み平面部分をがっしり密着させたり、軽く圧着する程度にしたり、僅かにフローティングさせたりすることで音質音色は変化しますので、それを音作りに利用するのです。その設定を変更できるようにするためにもネックセットスクリューは太めのものを使用してボディに食い込ませる様にします。
まあ早い話が、何でもネックとボディをより広く密着させてあれば良い、と言うそんな単純なものではなく、最終的な鳴り方/サウンドを目的とした場合、あえて接面積を落としてあげないと出せない音質音色もあると言うことです。
以上、参考までに。