経過報告 恵比寿のHさん
0306 ヨコハマ 曇り
今日はHさんのCS製ジャズベのチューン作業。
指坂修正&リフレットを行なって欲しいとのご要望が参りましたので早速フレットを抜き去って指板修正を行なっています。
最初に皆様に注意ポイントをひとつ。(この件は前にも話した気がしないでもない)
一枚目の写真はこのジャズベのネック端末。フレットを抜き去ったばかりのショットですが、ご覧の通り均一厚のラウンド指板構造のネックです。
この構造自体は良いのですが(指板厚が均一の為に各弦の響きに統一感が出ます)なんせ、ネックのメイプルと指板のローズは互いを切削加工のR面で接着しているのではなくて、メイプルのR面に薄いローズ板を湿度を加えて柔らかくしてプレス接合しているので、このローズ板は元は真っ平らな板なのです。その為に非常に指板厚自体が薄いのです。
これより厚い板の曲げは割れが出てしまい行なえません。
理想は4~5ミリ厚の指板材を切削加工でR加工して互いを密着させる事です。
切削加工であるならそれが可能なのです。
皆さんはご存知の通り、ワタシはヴァイオリンなど古典弦楽器製作時に指板の両面をR加工し、更にネック本体の上面もR加工を加えた3面R構造で製作を行ないましたが、手加工での精度出しはとーんでもなく難しいです。
ヴァイオリン製作の巨匠達ですらR指板構造で製作を行なった人はおりません。
しかし実際には3面R構造のサウンドは非常にトーンバランスとレスポンスバランスに優れた素晴らしいサウンドなのです。
しかし、量産品、しかもエレキでそんな構造設定をしたら製造コストがバーンッ!と跳ね上がってしまいます。
フェンダー社も苦肉の策として曲げ接合を選択したのでしょうが、いかにせよ指板厚が3ミリを切ってますから薄過ぎてリフレット時に指坂修正を行なえるゆとりが殆ど無いんですね。
打ち込むフレットの足の長さが2ミリ程ありますから、この薄い指板にフレット溝を加工しますと残った指板厚は1ミリ程度になってしまい殆ど指板はフレッティングポジションで切断されている様なものなのです。ですから強度的な問題を自ら抱えてしまうのです。
この張り指板構造の為に、ネックに狂いが出易い事、指板修正のゆとりが少ない事などが原因で楽器自体の寿命を縮めてしまっているので、このネック仕様の楽器の購入時には この点のリスクを承知の上で検討された方が良いでしょうね。特に四季のある環境変化が大きい我が国では注意すべきです。
写真1)は捻れて波打った指板を削り修正を掛けた時点でのショット。
いかに薄い指板かお分かり頂けるでしょ。
写真2)ヘッド側は4弦側が沢山削れ、1弦側はネック端末部は1弦側が多めの修正が入っており、ネックの中央部には殆ど修正が有りません。これはネックが捩じれながら波打ってるからです。
写真3)はそれを削りを最小限に留めながら問題点を全て解消し終わったショット
こうしたネックの修正は非常に難しい為にリペアーショップでもフレットの擦りだけで対応するしか無くなり、結果的にペッタペタにフレットが削られてしまう、と言うのが実情です。
正にこの持ち込まれた個体がそのまんまです。
でもご安心を。現在は指板上面修正してから燻煙処理中ですから。
ネックの強度も精度も格段に上がりますからね。t.m.p だからこそ対応出来る作業です。

今日はHさんのCS製ジャズベのチューン作業。
指坂修正&リフレットを行なって欲しいとのご要望が参りましたので早速フレットを抜き去って指板修正を行なっています。
最初に皆様に注意ポイントをひとつ。(この件は前にも話した気がしないでもない)
一枚目の写真はこのジャズベのネック端末。フレットを抜き去ったばかりのショットですが、ご覧の通り均一厚のラウンド指板構造のネックです。
この構造自体は良いのですが(指板厚が均一の為に各弦の響きに統一感が出ます)なんせ、ネックのメイプルと指板のローズは互いを切削加工のR面で接着しているのではなくて、メイプルのR面に薄いローズ板を湿度を加えて柔らかくしてプレス接合しているので、このローズ板は元は真っ平らな板なのです。その為に非常に指板厚自体が薄いのです。
これより厚い板の曲げは割れが出てしまい行なえません。
理想は4~5ミリ厚の指板材を切削加工でR加工して互いを密着させる事です。
切削加工であるならそれが可能なのです。
皆さんはご存知の通り、ワタシはヴァイオリンなど古典弦楽器製作時に指板の両面をR加工し、更にネック本体の上面もR加工を加えた3面R構造で製作を行ないましたが、手加工での精度出しはとーんでもなく難しいです。
ヴァイオリン製作の巨匠達ですらR指板構造で製作を行なった人はおりません。
しかし実際には3面R構造のサウンドは非常にトーンバランスとレスポンスバランスに優れた素晴らしいサウンドなのです。
しかし、量産品、しかもエレキでそんな構造設定をしたら製造コストがバーンッ!と跳ね上がってしまいます。
フェンダー社も苦肉の策として曲げ接合を選択したのでしょうが、いかにせよ指板厚が3ミリを切ってますから薄過ぎてリフレット時に指坂修正を行なえるゆとりが殆ど無いんですね。
打ち込むフレットの足の長さが2ミリ程ありますから、この薄い指板にフレット溝を加工しますと残った指板厚は1ミリ程度になってしまい殆ど指板はフレッティングポジションで切断されている様なものなのです。ですから強度的な問題を自ら抱えてしまうのです。
この張り指板構造の為に、ネックに狂いが出易い事、指板修正のゆとりが少ない事などが原因で楽器自体の寿命を縮めてしまっているので、このネック仕様の楽器の購入時には この点のリスクを承知の上で検討された方が良いでしょうね。特に四季のある環境変化が大きい我が国では注意すべきです。
写真1)は捻れて波打った指板を削り修正を掛けた時点でのショット。
いかに薄い指板かお分かり頂けるでしょ。
写真2)ヘッド側は4弦側が沢山削れ、1弦側はネック端末部は1弦側が多めの修正が入っており、ネックの中央部には殆ど修正が有りません。これはネックが捩じれながら波打ってるからです。
写真3)はそれを削りを最小限に留めながら問題点を全て解消し終わったショット
こうしたネックの修正は非常に難しい為にリペアーショップでもフレットの擦りだけで対応するしか無くなり、結果的にペッタペタにフレットが削られてしまう、と言うのが実情です。
正にこの持ち込まれた個体がそのまんまです。
でもご安心を。現在は指板上面修正してから燻煙処理中ですから。
ネックの強度も精度も格段に上がりますからね。t.m.p だからこそ対応出来る作業です。


